イルーナ

プラネット・テラー in グラインドハウスのイルーナのレビュー・感想・評価

3.7
「お前のタマをよこせ」
「神は慈悲深い。俺は違う」
「これで両足揃ったぜ!」

グラインドハウス。それは、昔アメリカ各地に存在したB級映画専門の映画館。
そんな思い出を21世紀になって復活させようという、あまりにも酔狂な企画。
もちろん、こんなことを思いつくのはタランティーノとロドリゲスのコンビなわけで……

ロドリゲス編に当たる『プラネット・テラー』。
実際の上映順でもこちらが頭だったようなので、先に観ました。
本編が始まる前に『マチェーテ』の予告が流れますが、本作の数年後に実際に映画化されました。
(マチェッティおじさんマジでああだったんですか……?!)

本作はゾンビパニック物であり、軍の基地から毒ガスが漏れたことからパンデミックが発生。
おかげで町中てんやわんやのゾンビパニックが巻き起こるわけであります。
感染したら膿だらけになってグチャドロゾンビに!
膿や血のりブシャー!脳を食われて頭がカラッポに!
ミニバイクでウィリーしながら走る姿がお茶目な主人公の元カレエル・レイ!
キンタマコレクターのマッドサイエンティストのくせになぜか味方サイドのアビー!
注射器を手裏剣のように飛ばしてくる女医さんダコタ!無駄な特技だっていつか点と点が結びついて役に立つ!
そのダコタの父親としてくるアールは、タランティーノやロドリゲス作品の常連!
バーベキューやソースにやたらこだわるオヤジ!
自分の子になんて役をやらせるんだロドリゲス!それに輪をかけてあまりにもヒドすぎる役柄のタランティーノ!
そして……片足になりながらも終盤マシンガンを装着して無双を決めるチェリー!
こんな濃い連中が、大騒ぎを決め込みます。
……脚のマシンガンはどうやって引き金を引くんだなどのツッコミ所は置いといて。
オチのつけ方も強引なハッピーエンドだし、とにかく、全体的に豪快なノリの「こまけぇことはいいんだよ!」なバカ映画かつ、まさしく「ザ・B級映画」な作品であります。
さながら、こってりとした味付けの肉料理でもがっついた感じのノリ。

そしてグラインドハウスで上映されるような作品は、フィルムが多くても20本程度しかプリントされず、あちこちで使いまわされたため傷だらけになったり、退色したり、場面が飛んだりなどボロボロだったという。
そういう部分も体験として送り出したいと、わざわざ再現するという妙な芸の細かさ。
しかし、場面が飛ぶのがよりにもよってセックスシーン……
さらに「一巻紛失 不手際をお詫びします 支配人」という謝罪コメントまで入れるという……w
実際に劇場で観れた方が羨ましい。
イルーナ

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