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飛べ!フェニックスのnoteのレビュー・感想・評価

飛べ!フェニックス(1965年製作の映画)
4.1
石油会社の輸送機が砂嵐に遭遇し、砂漠の真っ只中に不時着する。操縦士フランクと航空士ルーは脱出策を練るが、見通しは立たず、犠牲者も相次ぐ。そんな中、航空技師ハインリッヒが壊れた機を新たな単発機に改造し、飛び立つことを提案。生存者たちはフェニックス号と名づけた改造機に全てを託す! 

砂漠からの男たちの決死の脱出を描くサバイバル・アドベンチャーの傑作。
逃げ場の無い砂漠は一種の密室となり、それぞれの登場人物の個性のぶつかりあいが見所となる。
改めて観ると成る程、個性的な俳優ばかりで画面がむさ苦しく濃厚だ。

砂漠のど真ん中で、どうすれば生き延びることが出来るか?というサバイバルなストーリーを追うだけでも充分面白いのだが、それだけでなく、職業や出自も様々な男たちがどうやって団結していくのか?…という人間ドラマも面白い。

しばしば組織というものは、沈没しないように一隻の船を動かす役割分担に例えられるが、墜落した飛行機を作り直して脱出しようとする展開が、まるで組織再建の物語として見えてくるのが不思議だ。
いや、元々は同じ組織に属する人間たちではないので「呉越同舟」というべきか?

機長は保守的なリーダーで、航空士は人柄のいい補佐。
行動派の大尉に、臆病者の部下の軍曹。
航空技師は理詰めのインテリで、知識はあっても経験のない生意気な新参の急先鋒。
そんな具合に組織内の人間構成に準えて見れば、身近に感じる事ばかりで誰しも感情移入できる。

バラバラの男たちが一縷の望みに賭けて一致団結する。
出てくるのが「男だけ」というのもイイ。
こんな窮地に女性が登場したら、恋愛要素や奪い合いが起こり、団結という論点がブレる。
飛行機がようやく完成に漕ぎ着けた時、航空技師は実は模型飛行機しか作ったことがないと明かされるのが衝撃的。
果たして本当に飛ぶのか?というサスペンスも加わる。
ラスト、フェニックス号と名づけられた急造飛行機のエンジンがかかり、砂漠を滑走し出すシーンは手に汗を握り、飛び立った時のカタルシスはものすごいものがある。

「飛べ!フェニックス」とはズバリ再起を表すタイトルだが、シンプルで力強い話のタイトルに持ってこいだ。
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