前方後円墳

TAMPEN 短篇の前方後円墳のレビュー・感想・評価

TAMPEN 短篇(2000年製作の映画)
2.0
監督なしで制作された作品群。それは役者たちの即興であり、巧みな絡み合いであり、人間対人間のドラマとして作為なく、どこまで絶妙なものが出来上がるかとても面白い試みである。しかし、全体的にのっぺりとしたドキュメントのようであり、どちらかというと作為に満ちた居心地の悪さがある。

「short film」
女と医者の対話がつまらない。日常会話から親密な会話への変化が不可解だ。不気味なまでの男と女の駆け引きととるには、あまりにもクールでさらっとした口調なのだ。日常とはこんなに気味の悪いものではない。

「kyoko」
とにかく一人の女が話し続ける。それもつまらない話だ。その生活感も作られている。生々しさのない、ただの会話。生きている一人の女を感じることは出来なかった。

「空 koo-ghe 華」
ちょっとしたファンタジーだが、死んだ男の気持ちが見えない。ただ女の幻影として存在するだけのような抜け殻がある。しかし彼は彼女の前に現れている。それは彼の意思がそこにあるからだと思われるのだが、ただ、見守るにしては表情が暗すぎるのだ。彼女の悲しみも中途半端だ。ただ、飲んで、酔っ払っているだけ。

「share」
もっとも奇異なシチュエーションで物語らしい面白さがある。まあ、それでもひとつの部屋に二人の女が同居し、それぞれの好みに応じた生活をするというどうということもない設定だ。そこではささやかながらも、不可思議な笑い声と諍いがある。共感するかしないかではなく、ただその生態を楽しむしかない。