大雨がもたらした浸水からの「実録・汚屋敷になるまで」
現代であればなんらかの発達障害と言われたであろう叔母と、叔母に親近感を持つルーシー。ふたりが真っ当な社会生活を送れてナンボの価値観の中で生きることは、現代よりもはるかに過酷だったに違いなく、漆黒の闇に消えていくふたりの未来が明るいとはとてもじゃないけれど思えないし、金も家も持たないふたりがホームレス生活になるだろうことは想像に難くない(もうその手のお友達はいるし)。それでも自死を選ぶ母親よりは、火を放ってまでも逃避する叔母のヤバさのほうが少なくともルーシーを死に追いやることは絶対にないだろう。
姉の生きづらさに気づきながらも、人生を分かつ決断をした妹ルシールが、燃えた家を見て、母親の死よりも強い孤独を味わってしまいそうなのがむしろ心配。