かずぽん

あきれたあきれた大作戦のかずぽんのレビュー・感想・評価

あきれたあきれた大作戦(1979年製作の映画)
3.0
【もうすぐ義理の家族…そこに起こる大騒動】

監督:アーサー・ヒラ―(1979年・米・103分)
製作総指揮:アラン・アーキン
原題:THE INーLAWS 

レビュアー仲間からのお勧めで興味津々なるも、ピーター・フォークの声を生で聞くのが苦手で視聴を躊躇っておりました。
というのも刑事コロンボの吹替の声(小池朝雄さん/石田太郎さん)と、ピーター・フォークの生声とのギャップがあり過ぎて…
ところが、今回はそれを承知した上での視聴だったので大丈夫でした。

ピーター・フォーク演じるヴィンス・リカルドとアラン・アーキン演じるシェルドン・コーンペット(通称シェリー)ですが、数日後にヴィンスの息子とシェリーの娘が結婚するのです。
なのに、両家はまだ一度も顔合わせをしていないという…それは、新郎の父・ヴィンスが世界中を飛び回っていて忙しいから。
この日、やっと両家の初対面となるはずが、ヴィンス夫妻は一時間以上も遅刻で、シェリーは自宅の窓からイライラしながら夫妻の到着を待っていました。シェリーは歯科医で、一般常識を持ち合わせた人物。そんな彼と如何にもいい加減なヴィンスとは上手くやっていけるのでしょうか?

実は、観客(視聴者)は冒頭のシーンで、ヴィンスが現金輸送車からドル紙幣の原板を盗んだ一味の仲間(ボス?)だということが分っています。おまけにヴィンスの語る物語が胡散臭いものですから、どうしてもシェリーに肩入れしたくなってしまいます。
しかも、有ろうことか初対面の夜、ヴィンスはシェリーの家の地下室に原板の一部を隠し、別の日にはシェリーの経営する歯科医院を訪れ「5分でいいから付き合ってくれ」と、善良なシェリーを巻き込んでいきます。

シェリーを次々に襲う災難はすべてヴィンスのせいです。見ているだけで本当に気の毒。何者かに銃で狙われ、カーチェイスで逃げ回り、どこぞの将軍に会うために小型飛行機に乗せられ、また銃撃され・・・

「アンタ、一体何者なんだ!?」と問いただせば、「自分は実はCIAなんだ」と告げられます。
それも一般市民が大勢いる中で、大声で。恐らくそれを聞いたシェリーも観客同様、「この大法螺吹き!」と思ったに違いありません。
途中、シェリーはヴィンスの目を盗んでアメリカ大使館に電話を掛けます。しかし、ヴィンスは頭がオカシイ男で、とっくにCIAを辞めている。と告げられるのです。それを聞いて私は「やっぱり」と思いました。頭がオカシイ男の言動だと考えればすべて納得できるのです。

いやはや・・・驚くべき結末でした。
すべてを理解した上でもう一度観てみると、現金輸送車を襲ったのに現金には一切手を付けなかった理由も納得でした。そして、改めてシェリーに同情してしまいました。

それにしても、コロンボとは違う役柄なのに、「物事に動じない」演技というのは、ピーター・フォークの持ち味なのでしょうね。それに引き換え、相棒を務めたアラン・アーキンは、その役柄と同じようにピーター・フォークに振り回されていた感じがありました。絶対に何度も噴き出してはNGを出していたのではないかと思われます。劇中でもこれは絶対に笑いを堪えていると思うシーンがありました。小型飛行機の中で中国人のスタッフが、緊急時の心得(酸素マスクや救命胴衣)を説明するシーンは、絶対に笑っていた…と思います。将軍とご対面のシーンとかもね。
笑いが尻上がりに加速していきます。まったりと楽しませて頂きました。
あと、「ジグザグ」に逃げるシーン。絶対、効率が悪いってば~!(笑)
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