かずぽん

戦艦ポチョムキンのかずぽんのネタバレレビュー・内容・結末

戦艦ポチョムキン(1925年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

【圧巻は「オデッサの階段」】

監督・脚本:セルゲイ・エイゼンシュテイン(1925年・ソ連・75分・モノクロ・サイレント)


1905年に起きた戦艦ポチョムキンの反乱を描いています。“ポチョムキン”という言葉の響きが一度聞いたら忘れられなくて、そんなヘンテコな理由も含めて「観てみたい」と思っていた作品です。
字幕による説明や台詞があるだけで、人々の感情やその他の状況・雰囲気の説明は音楽が担っています。
1925年(大正14年)のサイレント映画だからと侮っていたわけではありませんが、モノクロ映像の力強さと、作品全体の熱量に衝撃を受けました。

淀川長治総監修『世界クラシック名画100撰修』では、本作冒頭の淀川氏の解説で、“船員のストライキ”と表現していました。また、映画の字幕には「革命は戦争である」という説明もありました。
戦艦ポチョムキンの反乱が起きた1905年で調べてみると“ロシア第一革命”の最中であり、ポチョムキンの反乱もそういう革命の中の一コマであったようです。
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【第1章】人々とウジ虫
戦艦ポチョムキンの船内にも革命の気運が高まりつつあった。この章で焦点が当てられているのは乗組員(主に水兵たち)だ。ある者は仮眠中に上官の腹いせに遭って悔しがっていたが、ついに水兵たちの堪忍袋の緒が切れたのは、スープの一件だった。それは乗組員たちの食事に使われる肉にウジ虫が湧いていて、彼らが騒いでいると船医が現れ「これはウジ虫ではない。ハエの幼虫だ。塩水で洗い流せば大丈夫だ。」と言うのだ。調理担当の者は洗いもせず、肉を切り刻んでスープにした。船員たちは、スープを拒否した。
【第2章】甲板上のドラマ
艦長である司令官に食事のボイコットが報告されると、艦長は乗組員たちを甲板に集合させる。「スープに満足した者は2歩前に出よ。」と言い、前に出なかった者の内十数名に帆布が被せられ銃殺命令が出される。
そして、命令を受けた兵士たちが銃を構えて撃とうとした瞬間、ワクリンチュクが「兄弟!誰を撃つ気だ!?」と呼びかけると、兵士たちは銃を下ろしたのだった。この後、ワクリンチュクを先頭にいよいよ反乱が起こる。ワクリンチュクは命を落とす。
【第3章】死者の呼びかけ
ワクリンチュクの遺体をボートでオデッサの港に運び、テントの中に安置する。遺体の手を組んだ胸には「ひとさじのスープのために(殺された)」と書かれた一枚の紙。そのメッセージはオデッサの市民の間に瞬く間に広がり、次々に遺体のもとに集まってくる。市民たちも圧制者への怒りを爆発させ蜂起する。ポチョムキン号の周りにヨットが物資を補給するためカモメのように集まった。
【第4章】オデッサの階段
ポチョムキン号を望むオデッサの海岸に市民が押し寄せ、オデッサの巨大な階段にも人々が溢れかえる。すると突然、階段の上の方から多くの市民が雪崩れるように下りてくる。この章の一連のシーンは、映画史上最も有名な6分間と呼ばれているそうだ。
母親と逸れて階段の途中で横たわる幼い男の子。この少年の手を踏みつけ、蹴りながら階段を逃げ惑う人々。やっとそれに気づいた母親の、気も狂わんばかりの表情。また、ある若い母親は乳母車を押していた。このシーンは某映画の有名なシーンの元ネタだ。
階段に延びるコサック兵の長い影。彼らを見上げる少年を抱いた母親の懇願の表情。
人間の「善」も「悪」も、「弱」も「強」も、総ての対比が強調されたシーンはまさに圧巻。
【第5章】艦隊との遭遇
戦艦ポチョムキンでは、上陸するか否かの大激論。結果、軍が派遣した分遣隊を迎撃することで意見が一致する。ポチョムキンでは攻撃準備を整えた上で、合流を呼びかける手旗信号を送った。近づいてくるのは、果たして敵なのか味方なのか!?緊張が走る。やがて、分遣隊の艦隊に翻る赤旗が見えたのだった。
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オデッサの海岸のシーンは何度も繰り返し観ました。YouTubeでも「オデッサの階段」で検索すると出て来ますので、是非とも参考までにご覧ください。
セルゲイ・エイゼンシュテイン監督の提唱するモンタージュ理論が実践されています。私には説明など無理なので、これもYouTubeでの解説をご覧になってください。

https://www.bing.com/videos/riverview/re
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【オデッサの階段について】

史実によると、「オデッサの階段での虐殺事件」は存在しないそうです。
また、黒海艦隊の多くが反乱に同調したというラストのシーンも史実とは異なるそうです。
実際の数は少なかったとのこと。

この巨大階段は、ウクライナのオデッサ(2022年3月31日、外務省は日本政府の立場として、ウクライナ語の読み方に基ずく「オデーサ」に変更)にある。
最上段のステップは幅12.5m、最下段のステップの幅は21.7m。落差は27mで前後は142m。
階段は錯視目的のデザインで、階段を見下ろす人には踊り場だけが見え、階段を見上げる人には踊り場が無いように感じられるそうだ。
階段の幅は下に行くほど広がっているので、下からは実際の階段よりも長く見え、上から見下ろすとそれ程長いようには感じないらしい。
(Wikipediaより)
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