かずぽん

バービーのかずぽんのネタバレレビュー・内容・結末

バービー(2023年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

【バービーに異変】

監督:グレタ・ガーウィグ(2023年・米・114分)
原題:Barbie

序盤は、予告映像のイメージどおり。
ピンク系統の色彩に包まれた「バービーランド」の夢のような一日。
世界的に有名な着せ替え人形(あ、お洒落にファッションドールというのか…)バービーのお家に、衣裳に、家具。どれもこれもが可愛らしい。
主人公の定番バービーを演じるのはマーゴット・ロビーで、彼女のボーイフレンドのケンを演じるのはライアン・ゴズリング。(ウィキには、バービーの設定は17歳のファッションモデルとなっていたけど?)
ここに暮らすバービーにもケンにも様々なタイプや職種が用意されていて、こんなにも種類が豊富だったのね。。。
そして、ある日の朝。バービーに異変が起きた。毎日が完璧なルーティーンだったのに、何もかもが上手くいかないのだ。
何故かバービーが「死」について考えた途端、バービー自身が「劣化」を意識する。こういう時に頼るのは“ヘンテコバービー”だというので早速相談に行く。
結局、バービーで遊んだ人間が、うっかり「死」について考えてしまったために異変が起きたのだった。
そこでバービーは、元通りのバービーランドに戻すために人間社会へ行くことにした。

持ち主の女の子サーシャ(アリアナ・グリーンブラッド)からは「バービーがフェミニズムを50年遅らせた」と責められてしまうし、バービーが街を歩けば性的な揶揄の言葉を掛けられる。
実はバービーを危機的状況に陥らせたのは、サーシャの母親グロリア(アメリカ・フェレーラ)だった。自分が「死」について考えたからだと気づいたグロリアは、バービーやバービーランドを救おうと決心する。
もう、どんどんファンタジーじゃなくなってる。人間世界では言えないこと、実現できないことをバービーたちにやらせようとしている?ひょっとして、テーマはポリコレなの?フェミニズムを主張するのが目的?

途中経過は省略するけれど、ケンにはケンの主張があって、ケンを悩ませていたのは承認欲求のせいだったかもしれない。“自分は何者か?自分の存在価値は?”と悩むことは普通にあるし理解できる。
本作からのメッセージで理解(納得)出来たのは、騒動のそもそもの原因となったグロリアの思いだった。
自分の思いを客観的に眺めたり、自分以外のひとに伝えるのには、言葉にすること、言葉に置き換えることが肝心のようだ。理論的なことならば言葉に置き換えられても、“思い”や“感情”を言葉で伝えるのは難しい。
しかし、バービーランドがケンたちによって人間社会と同じく家父長制の男社会に変化しているのを見たグロリアは、思いの丈をことばにしてぶちまけた。
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女でいるのは苦行だ。女は常にステキじゃないといけない。
スリムでも痩せすぎはダメ。
お金は持つべき。でも、ガツガツしちゃダメ。
偉くなれ。偉ぶるな。
リーダーになれ。でも、下の意見を聞け。
母親業は楽しめ。でも子供自慢はダメ。
キャリアは持て。でも周りの世話もしろ。
男のワガママに付き合え。
指摘すれば文句扱いされる。
美しくいろ。でも、やりすぎるな。
目だっちゃダメ。常に感謝しろ。
老けちゃダメ。失礼なのも気取るのもダメ。
自己中も挫折もダメ。失敗も怖がるのも はみ出すのも。
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グロリアの内面で感じていたことが言葉になって、他者にも理解される形となった。
結局、バービーもケンも「こうあるべき」という観念から抜け出すためには、違う世界を見ることや自身の思いを他者に伝えることが必要だった。そして、誰もがそのままの自分、あるがままの自分で良いのだとメッセージを送ってくれたのだが、さて、現実世界では…
ところで、冒頭の『2001年宇宙の旅』を想起させるシーンが面白かった。
巨大なバービー人形は、少女たちを導くモノリスなのかな?(笑)
かずぽん

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