バナバナ

私の中のあなたのバナバナのレビュー・感想・評価

私の中のあなた(2009年製作の映画)
4.5
次女はどうして親を訴えたのか?
裁判を通して謎を解く様に展開していくので、ミステリータッチでもあります。
普通の難病、お涙頂戴ものに陥りそうな設定を、上手く時間的トリックを使って撮っているところに、監督の上手さを感じました。

この作品が中盤に差し掛かってくると、私にはこの母親が『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のビヨークと重なって見えてきました。
父親はアナが訴訟を起こした時に、ケイトの為に嫌がる5歳のアナに骨髄穿刺した時の事を鮮明に思い出すのに比べて、母親とアナとの思い出は描写されません。

そして、病院からケイトの自宅療養を勧められだすと、母親は、
「私は最後まであきらめない」
「私は14年間闘ってきたのよ」
と、他の家族と比べて、目線が一人だけ違う。
一生懸命なのは分かりますが、それってケイトの為というよりは、自分の感情を最優先にしてるんじゃないの?という感じ。

家族みんながケイトの事を考え、お互いを大切に思っているのに、どんどん擦れ違いが大きくなっていく。
家族という近い関係故にこじれていく状況が、それぞれの考えをナレーションに入れたりして整理され、他人が見ても分かりやすいように見せてくれていました。

映画のTVCMを見た印象では姉妹の話かと思っていたんですが、
2番目に男兄弟もいるんですね。
ちょっとこの男の子、性別も違うせいか、家族の中で一番疎外感を感じていたように見えて、かわいそうでした。
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