円柱野郎

私の中のあなたの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

私の中のあなた(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公は姉のドナーになるべく操作されて誕生したわけで、物語の序盤で訴訟云々という展開を見ると「臓器移植と生命倫理を問うた社会派ドラマ」かと身構えたけど、いやいやそんなことはなく、至極真っ当な家族の愛情を描いた人間ドラマでした。
“難病だから悲劇”“何かが成就しないから不幸”というのではなく、その状況の中で支え合って今を生きていこうとしている人たちの姿には感銘を受けます。全編の主軸である訴訟の話は、アナの悪意ではなくケイトの願いという真相が明らかになると何ともやるせない気持ちにもなるけど、それでも“どうしたいのか”という本人の気持ちに心打たれたりもします。ストーリーの時間軸はやや前後することはあるけど、混乱する様な作りではなく、むしろ登場人物達の回想的な体になっていて受け入れやすかったかな。
母親役のキャメロン・ディアスは全編に渡って難病の子を持つ母親を好演してました。他の演者では、個人的に判事役のジョーン・キューザックの死んだ娘のことを聞かれて言葉に詰まるシーンが印象に残ってます。悪い人は誰も出てこない映画だね。
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