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ナイル殺人事件のGreenTのレビュー・感想・評価

ナイル殺人事件(1978年製作の映画)
1.0
ついこの間、ケネス・ブラナー監督、ガル・ガドット主演でリメイクされた『ナイル殺人事件』1978年版です。

ジャクリーン・ド・ベルフォール(ミア・ファロー)は、サイモン・ドイルという男性と出逢い婚約するが、サイモンは仕事がなく、親友のリネットに家の管理人として雇ってくれないかとお願いする。

リネットはすごい金持ちでデカい邸宅を持っているのだが、すごいやな女っぽい。しかし、サイモンがいい男だったので仕事を与え、しかもジャクリーンから略奪して結婚してしまう。

リネットが貧しい生まれのサイモンと電撃婚をしたニュースはハイ・ソサエティに衝撃を与え、みんな自分も2人の新婚旅行先エジプトに行くことにする。

この、ハイソの人たちがエジプトに行くことにする動機が良くわからなかった。マリー・ヴァン・スカイラー(ベティ・デイヴィス)は、気難しい金持ちのばあさんって感じで、付き添いのバウァーズが嫌がるから?みたいな感じだし、アンドリュー・ペニントンっていうリネットの弁護士/叔父?は、遺産を心配している?

で、みんなエジプトで知り合いばかりに「ばったり」会って、なんとも思わないのかなあ。それともエジプトには白人のハイソばっか集まるところがあって、そこでも結局お馴染みの顔しかいないのか。

ケネス・ブラナーの『ナイル殺人事件』は、エジプトの背景が全てCGI 丸出しだったって書いたけど、こちらは本当にロケしたらしい。だけどそんなに壮大な映像でもない!ケネス・ブラナー版は、ナイル川を下る船の背景が素晴らしい景色だったと思うんだけど、こちらは「本物」なので、意外とどってことない。まあこれが現実だよね、って感じ。

サイモンとリネットは、馬に乗ってピラミッドまで行って、勝手に登っていくんだけど、あれってOKなの?遺跡でしょ?落ちて死んだりしたらヤバいからダメだよね。

あと、他の観光客が一切いないってのも違和感ある。

一番上まで登って「素晴らしい景色ね」とか言ってると、「このピラミッドの歴史は・・・」とジャクリーンが現れる。

「なんで俺たちを付け回すんだ!」と怒るサイモンとリネット。

次に「ギザの大ピラミッド郡」に行き、クフ王、カフラー王、メンカウラー王の3つのピラミッドを見ていると、ジャクリーンがピラミッドの間から現れて「このピラミッドは高さなんフィート、歴史は・・・」って、お前ガイドかよ!

次に行ったのはどこだか知らんけど、柱がいっぱい立ってるところで、リネットとサイモンを狙って石が落ちてくる。

こんな感じで前半は観光ビデオみたいになってるんだけど、登場人物が馬、ラクダ、ロバなどに乗って観光するシーンで、この人達が動物を「乗り物」としか思ってない感じがして気分悪かった。

で、後半は、ジャクリーンから逃れようと、ボートでのナイル川下りに参加するリネットとサイモンなのだが、そこに他の人たちも参加する。

そうそう、ポアロはたまたま乗り合わせていただけらしい。

んでボートのデッキで景色を楽しんでいるリネットのところに、登場人物が舞台劇のように順番に現れて、各人がリネットのことを嫌っているのが分かるような会話をする。

そいでまた、その場面に都合よくポアロが「たまたま」いて会話を聞いている。

リネットが殺された後、ポアロとその友達らしきジョニー・レイス大佐って人が捜査を依頼されるのだが、なんでだ?

ポアロとレイス大佐は、「みんなに動機がある」と、検屍をしたベスナー医師でさえ「リネットにヤブ医者扱いされていた」からと、容疑者リストから外さない。

しかしどーいう権限なんだ?現在の捜査基準で考えたら、ポアロとレイス大佐だって容疑者じゃないか。リネットの知り合いじゃないから?

で、この後、目撃者であると思われるリネットのメイド、ルイーズの死体が見つかるのだが、ベスナー医師は、見ただけで「死後1時間しか経ってないな!」とか「凶器は小さくて薄いナイフだ!」とか断言する(笑)。

本当に死んでるのか先に確認しろよ!

次にはマリー・ヴァン・スカイラー婦人が、ポアロとレイス大佐に犯人を見たと告げようとした時、2人の目の前で頭を撃ち抜かれて死ぬ。

このときも、もう死んだと断定して、とにかく犯人探しに乗り出す。

この2人の目撃者は、応急処置してすぐに寄港して病院に行ったら助かった可能性もあるのでは(笑)

他の容疑者も、「リネットのパールのネックレスを欲しがってた婦人」とか、「リネット一家に自分の一家を潰された女」とか、「社会主義者で金持ちを嫌っていた男」??とか、リネットが色んな人から恨まれていたことは分かるが、殺すかな?

しかもポアロが「たまたま小耳に挟んだ」動機。

状況証拠と言いがかり(笑)

この映画すっごい流行ったし評価されているし、私も小さい頃観て「すごい!面白い!」って思ったハズなんだけど、今観るとなんて雑な。

それだけ殺人事件の描写や捜査の方法などが、映画で明らかにされてきて、観ている方も色々知識が付いたからなんだろう。

ミア・ファーロウはこういう「狂った女」のイメージにピッタリだよね。ケネス・ブラナー版はリネット役のガル・ガドットの方が中心だったけど、こっちはジャクリーンに焦点を当ててる感じがする。

役者の演技もすごい誇張されていて舞台演劇みたいだし、今の感覚で観るとすっごい大根役者に見える。

いくら1978年でもこれはないと思うのだが、評価されているようだから、時代が変わっただけなのか。

楽しみ方が解らない(笑)。
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