くわまんG

ドラえもん のび太と竜の騎士のくわまんGのレビュー・感想・評価

4.5
あらすじ:力は支配に用いると滅亡するし、平和に用いると繁栄するよ。

地底世界で遊んでたらスネ夫が帰ってこなくなった!なんとかしてよドラえも〜ん!…というお話。

無理のない非日常への導入で引き込み、深まる謎とハラハラアクションで引っ張り、戦争の起こる仕組みやその結末といった教育的なオチで結ぶ、最高級のSF。伏線回収もお見事。

様式美と化したオープニング(バカにされて泣き走りながら「ドラえも〜ん!」)以降はお気楽な局面がほぼ無いし、感動の大勝利ではなく痛み分けで幕を閉じるから好き嫌いが別れそうだけど、子供の頃から未だにマイベストドラえもん映画。

メインゲストのバンホーさんが魅力的。正義感が強いけど視野が狭く、個人の正義と国の正義との間で揺れる。彼が終盤に“ドラえもんの敵”として観客に映ってしまうのは、戦争が“家族のために闘う善き人たちの殺し合い”だからなので、この点からもいかに戦争がおぞましい所業かよく分かる。

テクノロジーという力を、利己的に用いれば神に罰せられ(るようなことが起き)、利他的に用いれば神と称えられる。「(今回みたく力の使い方を間違えなければ)そのうちきっと(今回と違って)自由に行き来できるようになりますよ」というお別れの台詞に、人類(=人間性を備えた生物)が手を取り合う未来への果てしない願いが込められていて、胸がいっぱいになる。

0点の答案が見つかって叱られてるくせに、そんな日常に戻れて幸せそうな二人を切り取ったエンドロールも、とってもだいすき。