そーいちろー

砂の器のそーいちろーのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.2
橋本忍特集の2本目。前半のある種凡庸な刑事サスペンスから、後半の犯人である和賀英良の犯行動機の説明を丹波哲郎演じる刑事が説明する場面からのハンセン病の父と、息子の裏日本を南下していく旅の様子と、今は新進気鋭の音楽家としていざ飛び立たんとする「宿命」という曲を演奏する今の英良の映像がオーバーラップしながら展開する様子は圧倒的である。本作はある意味で非常に通俗である。もしかすると、語りすぎと思う部分もあるかもしれない。しかし、何というかそういうものを吹き飛ばす熱量を感じるのだ。それはまさに登場人物がそれぞれ自身の宿命の中で必死に生きようとした結果、望まざる答えしか得られなかった、そしてそういう人間達を無意識に追い詰める社会とかそういうものっていうのをこの映画は必然的に目を向けさせる。「人が描けている」とはこういうことを言うのか。
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