ぬーたん

誰かに見られてるのぬーたんのレビュー・感想・評価

誰かに見られてる(1987年製作の映画)
4.3
『ゲティ家の身代金』のリドリー・スコット監督の1987年の作品。
名監督の作品の中では低評価のようだし30年前の今作は初めて観たが、これは大好きな作品になった。
オープニングから胸キュンになる。
空撮の摩天楼。
都会の孤独。道は真っ直ぐ。何本もあるのは人生の道のよう。
流れるジャズ。
原題と同じ曲名は『Someone to Watch Over Me』でスティングが歌う。
まるでその窓の灯りの一室のナイトクラブで演奏されているかのような、何とも言えないじんわりとしたムードで、いきなり心を掴まれる。
彼の『ブレードランナー』にも似たその光景と、全編のスモークかかった妖艶な雰囲気に吸い込まれる。

ストーリーは殺人の目撃者の富豪の女性と、彼女を護衛する警官。
犯人に狙われるスリラーサスペンスであるが、どちらかと言うと、この2人の恋を軸に描いている。
警官には家庭があるから不倫ということになる。
この警官を演じているのが、トム・ベレンジャー。
な、なつかしい!
いつの間にやら観なくなったが、この頃はよく出ていた。
この作品辺りが絶頂期かな?
カッコいい!イケメンだけど飾り気がなくアクもなく平凡な感じが親近感を持てる。
今はどうしてるのかしら?と調べてビックリ!
現在69歳。まだ爺さんでもないのに、すっかり老けて太って、見る影もない。これは劣化と言うしかないよ。
俳優として努力が足りない感じでがっかり。
まあ、それはともかく、今作の彼は冴えない刑事役にも関わらず、凄くセクシーでかっこよくてウットリとしてしまうんよ。
目撃者の美人はミミ・ロジャース。
これまた美しい。この頃の美しいは本当に美しいのだ。
髪型も服装も古臭いけど、セクシーで素敵。
スタイル抜群でこちらもウットリ。
この作品の公開年にトム・クルーズと結婚。
3年後に離婚した。
この2人の関係は『ボディーガード』に似ている。
あちらも胸キュンだった。ケビンもカッコ良かったし、ホイットニーも綺麗で素晴らしい歌声だったね。
2人の恋の行方も良かった。
警官の妻をロレイン・ブラッコ。
気の強い女性だが、背が高く目が大きく、なかなか個性的。
この当時はハーヴェイ・カイテルと結婚していたが、後に離婚。

金持ちで美人の目撃者と、冴えない警官。
なのに惹かれ合い、でも気持ちを抑えて抑えて…。
その過程が観ていて苦しくなるほど。
『恋におちて』を思い出す。
サスペンスとしても見応えあった。
ベタな作りだが、心を揺さぶられた。
多分、若い頃に観ても感動しなかったかも?
いま、この年になってグッと来たのかもしれない。
ラストは私の期待する方向ではなかったものの、なんとも切なかった。
音楽がラストまで良かった。
好きだな。これは好きだな。
ぬーたん

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