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ショーシャンクの空にのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

こういう映画を観ると改めて映画が総合芸術であることを認識させられる。映像・音楽・演技など、あらゆるエッセンスが化学反応を起こしてひとつの作品となる。どのエッセンスのどの調合方法が欠けても作りえないものこそ映画なのである。

本作は名作中の名作でタイトルとあらすじだけは知っていたものの実際に鑑賞したのは恥ずかしながら今回が初めてである。冤罪によって刑務所に入れられた主人公が自由になりたいという希望を失わずに奮闘するというのが物語の本筋だが、本作の主眼は事件の真相を明らかにすること以上に、警察や政治の腐敗を風刺しながらどのような局面においても希望を持つことに価値があるというテーマを描き切ることにある。台詞でもあったように希望は薬にも毒にもなりうるのだが、希望なしで人々は生きて(活きて)いけない。物語が1947年から始まることを考えると、戦後に希望と絶望の間で揺らいでいた人々の象徴として本作の登場人物が描かれているといった解釈もできるだろう。そんな普遍的なテーマを扱ったことが本作が長らく愛されてきた一番の理由だろう。

とはいえ、個人的には事件の真相もきちんと落とし前をつけてほしかったというのが正直なところだが、、それを除いても本作が映画史に残る名作であることは言うまでもない。こういう作品を作れる可能性が少しでもあるのなら、自分はやはり映画を作る側であり続けたいと思う。それこそ、希望と絶望の狭間で、、
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