東朴幕院

雨のなかの女の東朴幕院のレビュー・感想・評価

雨のなかの女(1969年製作の映画)
3.7
フランシス・フォード・コッポラがあの『ゴッド・ファーザー』を撮る前の監督作品。とてもアメリカン・ニューシネマなアプローチをした作品だ。それに加えて非常にインディペンデントらしい即興的な演出、自由なストーリー展開が印象的だ。
シャーリー・ナイトが演じる若妻が恐らく夫からのDVか何かが原因で自分探しの旅(=即ち家出)をする訳だが、妊娠しているにも関わらず男を引っ掛けようとしていたのか、たまたま、大学を追い出されアメリカン・フットボール選手のキラー(ジェームズ・カーン)を拾う訳だが、家出するにも理由があるのだろうけど、そう言う振る舞いにどうも感情移入が難しかったかな。時折、夫にコレクトコールするのだけど、自立性は認められないし、家に帰るか考えあぐねる所なぞ覚悟もない。当時の女性の立場を考えるのが、ここまでがやっとな反抗なのかもしれない。
途中でキラーを目的地まで送り届け別れようとするが、そうも行かない事象が発生する。ここも凄く切ない気分になったね。米国の福祉の弱い所を表現しているのか。
そしてキルゴア中佐が登場。途中でカウボーイハット(騎兵隊ハットではないのが残念だが)をかぶるシーンがありニヤリとさせられる。キルゴア中佐じゃないロバート・デュバル演じる白バイ警官の人物背景もなかなか気の毒で、怒涛のラストになっていく。登場人物の絆や愛情では、どうにもならない非常なラストに呆然とする。これがアメリカン・ニューシネマのテイストだ。
東朴幕院

東朴幕院