このレビューはネタバレを含みます
シリーズ9作目。
本当にこのシリーズを見ていく度にどんどん座頭市という男、座頭市という映画を好きになっていく。
盲目というだけで周囲からは馬鹿にされ酷い扱いを受ける。
刀を抜けば余裕で勝てる相手なのに驕ることなく、何事もなかったかのように市は笑って許してやる。
彼は自分のことでは決して怒らない。
親切に貰ったまだ目の入ってないダルマに対しても、見えない者どうし仲良くやろうねと、優しくする。
このシーンを見た時、これまでのシリーズで市がヒロインにモテまくっていた理由がはっきりとした。
同時に、市のこの人間としての愛おしさに涙が出そうになった。
ここまでシリーズを見てきて、本当に強い人間とはなにかを市が教えてくれた気がする。
市は自分のためには刀を抜かないけど、誰かのためになら刀を抜く。
だから市の身体と精神にはいつも悲しさが纏っている。
戦いたくない時だってある。
誰かを失って悲しみにくれることもある。
それでも市は刀を捨てない。
自分からは決して捨ててはいけない。
全てにおいて市を越える者の刀によってのみ市は刀を捨てることができる。
そんな人間が早く現れてくれることを市は願っている……そんな気がした。