このレビューはネタバレを含みます
(姿が)見えない恋人。
(眼が)見えない恋人。
エンジェル君にとって最大のコンプレックスである姿が見えないことを唯一幸せに変換できる盲目の少女マドレーヌ。
そんなマドレーヌが眼の手術をして眼が見えるようになるかもと嬉しそうに言ってきた瞬間、エンジェル君の無色透明な世界が崩れていく。
見えないからこそ成立していた二人の世界。それが終わってしまうことは容易に想像ができ、エンジェル君は涙した…。
っていう解釈の他に単純に手術のための入院で会えなくなって寂しいっていうのはあったんじゃないかなって思えた。
マドレーヌは関わり合える唯一の存在で、その子が長い間いなくなるっていうのは少年のエンジェル君にとっては未来のことより今のこととして会えなくて寂しいって思えるんじゃないかなって。
じゃあその答えはどこにあるのかって映画の中にはないんだよね。
だってエンジェル君は見えないから。エンジェル君をはっきりと画面に捉えることはできない。
さらに映画のほとんどがエンジェル君が見てる世界のような構図でできてるから、エンジェル君に関することは他者の反応か、自分自身が感じることとして処理するしかない。
まるでVRのような感覚になる映画。
美しいVR。
世界観や言葉が美しくて、手法も斬新だっから個人的には結構好きな映画。