しぶや

ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれたのしぶやのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

2013年4月15日
ボストンマラソンで発生したテロ事件。

同じくこの事件を題材にした「パトリオットデイ」とは全く別アングルから事件について語っていて、個人的にはこっちの方が好きかな。

パトリオットデイはあくまで"事件"に焦点をあてているのに対して、こっちはそれが原因で男の身に起きた出来事を描いている。

順番的には先にパトリオットデイを観といて正解だった。
事件の内容を先に知ることで、ボストンストロングを観た時に背景をわかっているから更に深く映画に入り込める。


今回観ていて、なんだか腹が立った。
映画の出来が悪かったとかではなくて。むしろ出来は良い。

じゃあ何に腹が立ったかってテロを起こしたテロリストはもちろんだけど、テロを変に美化しようとしたり意味のあるものにしようとする世間の風潮というのだろうか。
その象徴が、事件で両脚を失くした主人公ジェフの母親だ。

息子を英雄にしようとして公の場に出したり、取材を受けさせようとしたりとやりたい放題。

「あなたはボストンのヒーローになるのよ」

本人からしたらふざけんなと言いたくなる気持ちもわかる。だって彼はヒーローになりたくて両脚を失ったんじゃないんだもん。

じゃあ何の為に?そんなものはない。

日本でもそうだけど、何か悲劇(例えば震災とか急に自動車が突っ込んできたとか)が起きると「二度と悲劇が起きないように世間に知ってもらうことが、きっとあなたの使命ですよ」とかって平気で被害者や遺族に言うけど、別に使命が欲しくて被害にあったんじゃない。

そんなこと本当はしたくないし、なんならジェフのようにほっといて欲しいって思うんじゃないかな。
でもそんなことは決して言えない。

だって言ったら世間から叩かれるから。
「被害者のくせに偉そうだ」「もっと辛い人はいるんだから」とか…。。。

被害者はそういった無関係な世間とも闘わなきゃいけないのだから、いかに人間が自分勝手な生き物なのかがわかる映画だった。
しぶや

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