Punisher田中

コラテラルのPunisher田中のレビュー・感想・評価

コラテラル(2004年製作の映画)
4.2
舞台はアメリカ・ロサンゼルス。
タクシードライバーのマックスは、とある夢を抱きながら真面目に仕事を行っている。
そんな中、ヴィンセントと名乗る高級スーツに身を包んだいかにもな客を拾いながら、目的地までの時間をぴたりと当てるあそびを仕掛けていた。
見事に時間を的中させたマックスの腕と生真面目さに感銘を受けたヴィンセントは怪しいタクシーの貸切りを持ちかけてくる.....

これが""コラテラル""か....
最高じゃないすかぁ...

同監督作のヒートでも感じたが、マイケル・マンとアメリカの夜の相性が素晴らしく良い。
所々にリアルな質感を持った夜景を入れ、暗殺者・ヴィンセントの言葉と共に主人公・マックスに迫り来る""死""。
煌びやかではないにしろ、綺麗だと感じていたアメリカ・ロサンゼルスの夜景は段々と受け付けられなくなってくる様に出来ているかと思えば、ラストの夜景ではまた綺麗だと思えてしまう。
挑戦的でありながらも地にはしっかり足がついたエンタメ作品となっていて、トム・クルーズ扮するヴィンセントの造形がとにかく見事だった。
トム・クルーズといえばヒーローの側面が強いけど、よくよく顔を見るとストイックさが滲み出ているため、雰囲気はアル・パチーノって感じだよね。
だから悪役というのには全然驚かなかったのだけど、ここまで悪役がハマるとはね...外面が良くて茶目っ気がありながらも、恐ろしく怖い本性を備え持っていてる最高の
マックスと共に巻き込まれていく僕達に対し、ヴィンセントは常にほくそ笑みながら「大丈夫だ」とからかっては本気の恫喝を始めてくる。
映画はある種の体験だと思っていたが、久々にこんなにもインパクトのある体験をするとは思わなかった。
何事もなかった筈のいつもの夜勤が急に地獄の夜勤へと変貌する。いつも頭の片隅に置いてある夢のことなんかはすっかり頭から消え失せ、気づけば生にしがみつくことしか頭に無い。
そんなマックスと同じ体験が出来るような臨場感溢れるシーンの数々はマイケル・マンにしか表現出来ないものばかりだと思う。

理屈を捏ねるとあれよあれよとストーリーのガバポイントが出てくるんだけど、そんなことはどうでも良い。
理屈は抜きにして俺と踊らないか?とこの作品は語りかけてくるし、なんならヴィンセントの様に銃を突きつけて「車」を走らせろと脅してくるし、その強制参加制なタクシージャックを是非体感して欲しい!
凶暴で娯楽性が高いのに奥が深いために後味もじっくり噛み締めて感じられるものになってるので...!