フライ

いつか晴れた日にのフライのレビュー・感想・評価

いつか晴れた日に(1995年製作の映画)
4.0
ジェーン・オースティンの古典を映画化した名作は、圧倒的な男性上位時代の中で苦悩する姉妹の恋愛を描いたストーリーで、切なさと美しさに心を奪われる作品。
キャスティングと演出、脚色の素晴らしさに、淡々と進むストーリーにも関わらず全く目が離せない魅力が。

イギリス貴族でダッシュウッド家の当主は、死の間際に前妻との息子ジョンに、法に則って財産を全て相続するのは仕方無いが、愛する今の妻や娘のエリノア、マリアンヌ、マーガレットの身を案じ不自由の無い生活をさせるように約束させる。しかしジョンの妻ファニーの入れ知恵により、約束は守られず辛い生活を強いられる事に。そんな時ファニーの弟エドワードが屋敷に越して来るが、魅力的な彼にエリノアは恋し、エドワードもまた…。しかしエリノア達は屋敷を引越ししなければならず、エドワードもロンドンの実家へ行く事になり離れ離れになるが。

女性の相続権や、仕事すら認められていなかった時代に進められるストーリーに複雑な思いで鑑賞したが、そんな時代故の女性の生き方や、考え方を恋愛と言う身近な共通項で見れるのでとても興味深く鑑賞出来た。
本作は、エマ・トンプソンが演じる長女エリノアと、ケイト・ウィンスレットが演じる次女マリアンヌの恋の行方を主点とし、時代背景や考え方、しきたりや悪しき慣習など色々な所に見所を感じさせてくれた。当然二人の恋の行方が一番の見所だが、長女エリノアの理性的な上品さと、マリアンヌの本能のまま動く情熱的な奔放さの、全く別の性格で有りながらも、好きな男性への一途な思いがとても魅力的思えるし、苦悩する姿に感情移入させられた。そんな二人を翻弄させながらも苦悩したり、優しさを見せる男性キャストの、ヒュー・グラントやアラン・リックマンの立ち位置や演技は見所の一つにも。

本来であれば本作タイトルは、姉と妹を表現した 分別と多感 だが、雨の多いイギリスとラストまで見た時のイメージにぴったりな邦題が好感をもてるし、ヒューマンドラマとタイトルらしい清々しい感動を味わえるラブストーリーは、今の時代だからこそ色々な意味で学べる作品に思えた。
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