カツマ

永遠のこどもたちのカツマのレビュー・感想・評価

永遠のこどもたち(2007年製作の映画)
3.6
見終わった後に邦題の意味を反芻すると涙が出そうになってくる。何気ない一言が永遠になるなんて。ホラーだけどホラーじゃない。最後のカットの切なさなんて尋常じゃなかった。子供達の笑い声、懐かしかった日々。戻らない時間を戻せたら、そこには永遠への入り口があるのかもしれない。慟哭の果てに待つ切なすぎる結末とは。開けてはいけない扉をこじ開けた、ある母親の物語。

かつて孤児院で育ったラウラは夫のカルロス、7歳の息子シモンと共に、古ぼけた洋館へと移り住んできた。その洋館は昔は孤児院だったが、今は閉鎖されており、人の気配など微塵もない。だが、息子のシモンはそこに子供達が住んでいると言う。見えない友達と遊びたいと駄々をこねるシモンにラウラは困惑し、ついには叱りつけてしまう。その直後、シモンは忽然と姿を消した。探してもどこにもいない。果たして息子はどこへ行ったのか。
それから半年が経った。依然として息子の行方は分からないままだったが、ラウラはまだ諦めてはいなかった。

監督のJ・A・バヨナは最近だと『怪物はささやく』を撮った人で、何と『ジュラシックワールド』の続編にも大抜擢!ギレルモ・デル・トロの後ろ盾を受けながらも、彼よりもノスタルジックで涙腺をチクリとさせる、どこか美しい悲しみを持っている作風はこの監督特有のものだろう。
バヨナはデルトロに続いてハリウッドの巨匠へと続く階段を登り始めるのか。その初期作である今作を見れば、そのポテンシャルは十分すぎるほどに感じることができました。
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