カツマ

黄龍の村のカツマのレビュー・感想・評価

黄龍の村(2021年製作の映画)
4.2
チャラいカップルたちがひどい目に遭う。序盤のチャラチャラしたやり取りを忘れてしまえるほど、とにかくひどい目に遭う。それしか言えない。逃げ惑うチャラ像たち。いきなり殺されるし、モブのように撃たれるし、ヤバすぎる村の標的になって絶体絶命の状況に立たされる。これは和製版ミッドサマーか?閉鎖的な集落に閉じ込められた若者たちが、とにかくひどい目に遭うお話である。

『ベイビーわるきゅーれ』シリーズなど野心的な作品を多数送り出してきた坂元裕吾監督による、閉鎖された限界集落型ホラー映画がここに降臨。66分とかなりの短尺であるが、簡潔にまとめられており、短さを感じさせない剛腕を発揮してくる作品である。正直、序盤はチャラ像たちのバカっぽいやり取りのオンパレードでかなりキツいが、中盤あたりからのビックリ展開で一気に盛り返してくる。ホラー、バイオレンス、そして・・?基本的にネタバレ厳禁。フラットな状態で見てほしい一本だ。

〜あらすじ〜

北村優希を中心とする若者グループはキャンプに行くために8人でレンタカーを走らせていた。優希をはじめ、運転手の孝則やその二人と恋仲の うららやなごみは和気あいあいと若者らしいトークを楽しみ、対照的に他の地味めな4人の中には車の後部座席で爆睡していたりとノリの悪いメンバーもいた。キャンプ場に着くと、そこでもバカ騒ぎは続き、ジャージ姿でとにかくノリの悪い梶原にヤジを飛ばしながらも、キャンプは楽しい雰囲気で幕を閉じた。
だが、そこからコテージへと向かう途中、車のタイヤがパンクしてしまい、8人は徒歩での移動を余儀なくされる。辿り着いた先は怪しげな村、龍切村。そこに住む新次郎という男に招待され、8人は新次郎の家に着くと、そこではまるで8人が来るのが分かっていたかのように晩御飯と寝床が準備されていて・・。

〜見どころと感想〜

お、そう来るか、思わず唸った。個人的には予想できなかったストーリーの作品である。何気に上手く作られており、村の恐怖描写も素晴らしい。チャラチャラした若者たちに幸せな結末が待っているはずもなく、あっという間に悲鳴の飛び交う修羅場が待つ。比較的しっかりと伏線が張られているが、細かいことはあまり気にせず楽しんだ方がいいだろう。内容の説明としては『チャラチャラした若者たちがひどい目に遭う』、これが全てである。

主演格の水石亜飛夢は戦隊ものなどで活躍しており、デビュー作はテニプリのミュージカルである。他にも坂元作品の常連、松本卓也やアイドルカレッジの元メンバー、石塚汐花などが出演。何気にインパクト大の役で一ノ瀬ワタルが登場してくるので、一ノ瀬目当てで観ても面白いかもしれない。一ノ瀬は『サンクチュアリ』での活躍もあり、いまや出演作の続く売れっ子。個性爆発の彼の存在感はなかなか楽しく観れるだろう。

エンドロールの後にもちょっとしたオチがあるので是非とも最後まで観てもらいたい。バカバカしいことこの上ないと辟易するか、バカバカし過ぎて面白いと笑い飛ばせるか、それはもう完全に趣味趣向の世界。間違いなくメジャー感のある作品ではないため、カルト映画好きには愛好されそうである。とにかく何回も言うけれど、チャラ像たちがひどい目に遭う映画である。

〜あとがき〜

序盤観ていて、こいつらひどい目に遭わないかな〜って思いながら観ているとちゃんとひどい目に遭う映画です。かなり変な映画なので、好き嫌いは分かれるでしょう。自分はだいぶ好きな部類の映画でしたが、進んでオススメはしないですね笑

ちょっと想定していた映画と違っていた(違い過ぎてた笑)ので、次はもう少し想定通りの集落映画を観ようかと思っています。演技云々問題はありますが、比較的どうでもよくなれる映画でしたね。総括すると変な映画で面白かったです。
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