カツマ

マーベルズのカツマのレビュー・感想・評価

マーベルズ(2023年製作の映画)
4.0
最強の戦士に集う最強のチームことマーベルズがここに爆誕!キャプテン・マーベル、ミズ・マーベル、そして、モニカ・ランボーで結成された最強のトリオが、今、大空を舞うように宇宙を駆ける。長い長い旅のように混迷を極めたMCUの転換点となるのか?その未来はエンドロールのその先へと託された。

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の33作目となる本作は、キャプテン・マーベルの続編であり、MCUの今後を担う方向性が提示される作品となった。上映時間が105分とMCU史上でも最短となったり、デモにより宣伝が十分に出来なかったりと、ネガティブな情報が蔓延した状態での公開となったのは惜しかったが、各キャラクターの魅力を存分に交差させたクロスオーバー作品として重要な楔を打っている。これまでずっと一人(と猫一匹)で行動してきたキャロル・ダンヴァースの隣りに立つ新たな仲間とは?凸凹だけれど、意外と悪くない?そんなマーベルズがここに誕生したのであった。

〜あらすじ〜

遥か宇宙のとある星の上。クリー帝国の最高司令官ダー・ベンは、その星で目当てのバングルを手に入れる。そのバングルの力によって時空に穴が空き、その穴はジャンプポイントとしてそこに残された。
その穴の出ところを調査していたキャプテン・マーベルことキャロル・ダンヴァース。彼女はニック・フューリーとコンタクトを取りながら、一人、宇宙を飛び回っていた。一方、そのニックのもとで働くエージェント、モニカ・ランボーは、キャロルとは幼い頃からの仲で、随分長いこと顔を合わせていなかった。そんな二人が声だけの再会を果たしたと思った頃、バングルの力が発動して、キャロル、モニカ、そして、地球のアメリカ在住の高校生カマラ・カーンが、それぞれスーパーパワーを使用するたびに入れ替わるという謎の現象が発生。カマラはダー・ベンが手に入れたバングルと対になるバングルを所持しており、それがもとでこの騒動に巻き込まれることに。ただ、キャプテン・マーベルの大ファンのカマラは、推しが目の前に突然現れたことでミーハー心が全開になってしまい・・。

〜見どころと感想〜

まず今作を鑑賞する上ではディズニープラスで配信されているドラマシリーズの予習が必須である。絶対に履修しておいてほしいのがキャプテン・マーベルオタクにして街のヒーロー、カマラ・カーンが初登場した『ミズ・マーベル』。これを観ておかないと冒頭からいきなり置いていかれるし、カマラの家族とのホッコリとしたやり取りも入り込めないはずなので、可能ならば絶対に観ておいてもらいたい。

そして、モニカがスーパーパワーを手にするエピソードは『ワンダビジョン』に収録されているため、こちらも予習しておいて損はない。とはいえ、ディズニープラスに加入していないとそれも厳しいため、100%楽しむにはなかなかハードルの高い作品と言えるだろう。

主演のブリー・ラーソンは、その圧倒的な強さだけではなく、様々な衣装を着こなす多様な美しさを随所で披露。今作ではキャロルの強い部分と弱い部分の両面が表現されており、より人間らしさが前面に押し出された印象だ。カマラ役のイマン・ヴェラーニはドラマシリーズを鑑賞済みならばすでにお馴染み。とにかく彼女のアクティブで陽性のキャラクターが良いアクセントになっており、物語を暗くさせない照明のような役割を果たしている。モニカを演じたテヨナ・パリスは今作でいよいよそのスーパーパワーを完全開放。今後の彼女の動向がMCUにどんな影響を与えるのか楽しみだ。

『ミズ・マーベル』でも感じたことだが、やはりカマラ・カーンの快活なキャラクターが今作でも活きており、かつてのピーター・パーカーのように、シリアスなシーンを上手く浄化してくれる。キャロル、モニカ、そして、ニック・フューリーに加えて、ワンポイントでヴァルキリーまで登場。新キャラが少ない点も今作の珍しい特徴だろう。

そして、何といってもエンドクレジットである。ようやくここにきて、MCUは本格的に新しいターンに突入するようだ。そこには二つの大きな転機が訪れており、今後のMCUを楽しみにさせてくれる要素であることは間違いない。MCUの醍醐味はキャラクター同士のクロスオーバー。その脈動がいよいよスタートする。終わってみれば、予感と確変の一本でした。

〜あとがき〜

あまり世間的な評価は高くないようですが、個人的には面白く観れました。これまでにMCUのドラマシリーズをほとんど全て観てきたのも大きかったですね。というかドラマシリーズを観ていないとかなりキツいはず。少なくとも『ミズ・マーベル』は鑑賞してから今作に臨んでほしいです。

上の見所には明記しませんでしたが、『ホーク・アイ』を観ておくと更に良いでしょう。『シークレット・インベージョン』ともほんのりとシンクロしたりと、ドラマシリーズ未鑑賞のファンを豪快に置いてきぼりにする展開はディズニープラス未加入者には試練ですが、予習しておけばそれなりに楽しめる作品です。ようやく新たなアベンジャーズ始動かな?と期待を抱かせてくれる重要な繋ぎのような一本でした。
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