カツマ

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのカツマのレビュー・感想・評価

4.5
物語はすでに描かれた後だった。それを捻じ曲げようとすればするほど、全ては制御不能の迷宮へと変貌していく。でもだからといって、それは不可能なことなのか?決められた物語に沿うことが、本当に正しいことなのか?未知の道へと彼は、彼女は、進み始めた。これはそう、まだ終わりではない。若者たちの始まりのための物語である。

未曾有の映像体験で大きな話題を呼んだアニメーション版スパイダーマン、スパイダーバースシリーズの二作目となる本作は、前後編の所謂、前編に位置する作品である。三作目が完結編となり、その後の物語が焦らされること請け合いの前半となっている。そのアニメーション革命とも呼びたい超絶映像の連続は全く容赦なしの衝撃度。アニメだけではなく、コミック、実写なども盛り込む自由度で、アニメーションの幅をまたもや広げてみせている。この一本に巨大な労力とアイデアと才能が注ぎ込まれたのは想像に難くない作品であった。

〜あらすじ〜

多次元のスパイダーマンたちと協力して無事に粒子加速器の事故を食い止めたスパイダー・グウェンことグウェン・ステイシーは、異なる宇宙のスパイダーマン、親友のマイルズ・モラレスと会いたいと思いながらも、どこかポッカリと心に穴が空いたままの日々を送っていた。そんな折、グウェンはヴィランの襲撃の最中に、多次元のスパイダーマンらと出会うことになり、彼らと共にヴィランを打ち倒すことに成功する。だが、その際に警官である父親との間に決定的な溝が生まれ、グウェンは多次元のスパイダーマンたちと共に別の次元へと消えていった。
一方、マイルズ・モラレスのいるアース1610では、スポットというヴィランが出現。マイルズはスポットを一度は捕獲したかに思えたが、それに対して空間を操れるスポットは軽々と逃亡。そのせいで父の誕生日パーティーにも間に合わず、マイルズは両親とギクシャクしてしまう。そこに突然、会いたいと想い続けていたグウェンが現れて・・。

〜見どころと感想〜

前回は多次元のスパイダーマンたちの共闘したマイルズだが、今度は更に多くのスパイダーマンたちと関わり合い、多次元宇宙の真実を知り、そして、衝撃的な真相へと辿り着く。これは二部構成の前半部なため、後が気になって仕方がないという方には注意が必要だ。つまりはインフィニティ・ウォーのあの感じである。ここで終わるのか、、という容赦無しに焦らしてくる前半部なのである。

声のキャストは前作から出演のキャラはそのまま続投しているが、新キャストとしてオスカー・アイザック、ジェイソン・シュワルツマン(ウェス・アンダーソン作品の常連としてお馴染み)、ダニエル・カルーヤらが参加しており、実写でドナルド・グローヴァーがチラリと登場したりと小ネタも満載となっている。特にダニエル演じるホービーのキャラクターが魅力的で、イギリスの元祖パンクバンドっぽいスパイダーマンという設定はあまりにもかっこよかった。

アニメーションに関してはあまりにも膨大な労力が想起されるため、一つのカットへの画量が心配になるレベル。その分、圧倒的な迫力映像を次から次へと連打する津波のような作品となっていて、特に多次元スパイダーマンたちの本部でのバトルはとんでもない没入感である。最初から最後まで手抜きなし、中弛みなしでフルスロットルで突っ走る疲れ知れずの一本。前作の映像革命を更に推し進め、いよいよ未踏の次元へと到達しつつある。
三作目がとにかく待たれるわけだが、本国アメリカでは今年の3月に公開とのこと。正直、ここで焦らされるのはかなりキツいので、少しでも早く観たい。日本での公開日が決まるのをひたすら待つばかりである。

〜あとがき〜

自分はこの映画が前後編とは知らなかったので、マジか、、というところで終わってしまい、現在、相当な寸止め感を食らった状態となっています。恐らく同じ想いをした人も多いのでは?いや、どうなってしまうのか。早く続編が観たい。

あとやっぱりこの作品は映画館で観たいと思いましたね。前作は映画館で観れたので没入感満載でしたが、今回は配信だったので、どうしてもデカいスクリーンで観れたら、、と思ってしまいましたね。
カツマ

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