カツマ

シティーハンターのカツマのレビュー・感想・評価

シティーハンター(2024年製作の映画)
4.3
フィリップ・ラショー演じるフランス版にお株を奪われたかと思われた実写化、しかし、日本にも冴羽遼を演じるべき名優がいた。そして、主演の熱量に引っ張られるかのように、日本版シティーハンターの実写版が完全な形で火を噴いた。そう、これは完璧な実写化。Netflixのサポートを得て、今、ホンモノの新宿を舞台にした伝説の幕が開く。

以前から話題になっていたシティーハンターの実写版がついに公開。原作ものを演じさせたら彼しかいない。屈指のキャラクター解像度とストイックな役作りで高い信頼度を誇るであろう鈴木亮平が、お下劣なのにカッコいいあの冴羽遼を完璧に演じ切る。新宿の街を大胆に舞台装置として機能させ、それを現代風に見事にアレンジ。80年代にスタートした原作なのに全く古さは感じさせない。エンタメ映画としても実写化としてもこれほどに完成度の高い作品も珍しい。シティーハンターが最高であることを再確認させてくれる実写化作品である。

〜あらすじ〜

シティーハンターの冴羽遼と槇村秀幸は、失踪した妹を探してほしいという依頼を受けて、新宿の街で暗躍していた。あっという間に少女を発見した遼は、半グレたちに捕らわれている少女を助けるため、事務所に強行突入。半グレたちを次々と薙ぎ倒す遼だが、何故か少女は逃げ出してしまい、今度は槇村と二人で少女を追いかけることに。いよいよ少女を捕まえようという瞬間、少女は脅威の身体能力で遼の頭上をジャンプして逃亡していった。その際、槇村は少女が落とした瓶を回収し、密かにポケットにしまっていた。
この日は槇村の妹、香の誕生日。遼は車で槇村を妹の元へと送り届けると、槇村から、妹には手を出すな、と何度も念を押され、その場を後にした。槇村兄妹の誕生祝いのレストランから出発した遼。だが、彼がその場を去るのとは逆に、レストランの方向に暴走していくトラックが目に入ると、遼はすぐさまUターンすることにして・・。

〜見どころと感想〜

今作を高いレベルへと引き上げることができた要素はいくつかあると思うけれど、まずは原作へのリスペクトの強さ。そもそも鈴木亮平が大の原作ファンというのが大きいだろう。そして、許可を取るのが難しそうな新宿でのロケによって、その世界観の構築度は格段に増している。更には迫力満点のアクションシーンも素晴らしい。特に鈴木亮平を中心としたガンアクションは相当にかっこよく、冴羽遼が銃の名手であるという設定は完璧なまでに再現されている。

何度も言うけれど、今作での鈴木亮平は正に冴羽遼そのもの。声までアニメ版の神谷明に似せてきているし、身体作りにまでそのストイックさは発揮されている。真面目で不真面目で最高にカッコよい。そんな冴羽遼という魅力的なキャラクターは漫画やアニメの世界から飛び出して、ここに実写として降臨した。

他のキャストもなかなかハマっており、まずは槇村香演じる森田望智。彼女は『さがす』でその演技を見たことがあるけれど、今作ではよりその演技力が遺憾無く発揮された結果と思う。香の雰囲気にも合っており、応援したくなるキャラクターでもあった。槇村役の安藤政信はビジュアルからして似ていたり、橋爪功が80代にして貫禄の演技を見せてくれる点も見どころの一つだろう。

シティーハンターは80年代の作品のため、どう今風にアレンジするかは重要だ。それをコスプレ撮影会という、とても今っぽい設定に再構築したのも見事だったと思う。遼のお下劣なキャラクターも大いに発揮しやすい現場だし、新宿(トー横)エリアからのスライドの仕方もスムーズだったと思う。

総括すると今作は成功した実写化なのは間違いないと思う。カメオ的に神谷明も出演。更にはチラッと海坊主が登場しているので、続編にも是非とも期待していきたい。鈴木亮平演じる冴羽遼をまだまだ見続けていたい。そう思わせてくれる素晴らしい実写化でした。

〜あとがき〜

すでに話題沸騰のシティーハンターの実写化ですが、鈴木亮平を更に好きになれること請け合いの完全無欠の冴羽遼がここに再現されています。とにかくこだわりが半端じゃなくて、立ち位置や銃の構え方まで全く手抜きなし。モッコリダンスまでやってのける亮平の不屈のシティーハンター愛に爆笑しながら脱帽。笑えて、ハラハラできて、ちょっと泣ける最高のエンタメ作品に仕上がってます。

そして、幽遊白書でも思いましたが、やはりネットフリックスの実写化は成功しやすい気がします。その資金力もさることながら、原作を壊さないアレンジが徹底されていて、原作が好きな視聴者から見ても、満足度が高い作品が多い気がします。このシティーハンターもその成功例かと思いますので、まだまだ続きを見せてほしい。今後の続報に期待していきたいと思います。
カツマ

カツマ