むっしゅたいやき

ライフ・アクアティックのむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)
3.8
─ふと、思い立った。
薫風香る麗らかな午後、レモンのサングリアとキウイのカプレーゼをつつきながら、ユルい作品を観よう、と。
そこで選んだのが、この作品である。
ウェス・アンダーソン。
先日『犬が島』に就いて酷評したが、矢張りこの人の作品は五月の晴れた午後が善く似合う。

本作はアンダーソンらしい、ユルく、またちょっと切ない物語である。
海洋冒険譚としての本筋に加え、横糸として父子の関係性を紡いでおり、物語に奥行きを与えている。
ストップモーション・アニメに関しても前面に押し出しておらず、必要最小限、且つ効果的な使用で、ビル・マーレイを始め個性豊かな俳優達の表情を含めた演技が堪能出来た。

今、私の部屋には近所の子供達の嬌声が聞こえている。
明るい日差しの下で遊ぶ彼等にも、本作のネッドの様な、広く充実した日々が有れかし、と柄にも無く願うのである。
─酔ったせいにしておこう。
むっしゅたいやき

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