えいがうるふ

ヘル・レイザーのえいがうるふのレビュー・感想・評価

ヘル・レイザー(1987年製作の映画)
3.8
ただただ巻き込まれる娘(姪)が可哀そうな話。
古い映画ならではの手作り感あふれる凝った造形美術は一見の価値あり。偽物っぽいぷるぷるの肉片の質感とか安っぽいCGエフェクトも何とも味わい深い。魔道士達の登場シーンの演出とそれぞれのキャラデザインはもちろんもっと細かいところにも、随所に制作陣の美意識とこだわりが感じられる。例えば、コスプレよろしく剥いだ生皮を被ったもののまだ本体に馴染んでない様子の異様な生々しさなど、もはや作り手の癖が先走ってるような力の入れようが微笑ましくて笑うとこじゃないのに笑ってしまう。

抑えきれない淫欲に塗れたエログロな人物相関といい、闇落ちした元人間とどこまでも禍々しい闇の眷属たる魔道士達がおぞましい攻防を繰り広げるキモい展開といい、何よりこの変態味あふれる世界観そのものがたまらない!と惚れ込んでしまうコアなファンの気持ちは分からんでもない。

もちろん嫌いじゃない。
特に、魔道士のみなさんの見た目のインパクトのとんでもなさの割に言動に筋が通っていてちゃんと話通じるところがとても良い。誰彼構わず襲うモンスターではなく、ただただ自分たちの哲学に忠実で真面目な変態さんなだけ、という立ち位置を極めているのが面白い。覚悟もなしにスケベ心で彼らの世界に手を出した爪の汚いあいつが悪いのだ。

ただ、残念ながら観る時期が遅すぎたのか個人的に初見ではそこまでハマらない印象で終わってしまったので、二作目以降に手を出すかはとりあえず保留。