円柱野郎

劇場版 空の境界/第三章 痛覚残留の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

元々人間が潰れたり千切れたりといった描写の多い作品だったけど、今作は冒頭でレイプシーンが。
エロいわけではなくて、人としてエグい。
温厚なキャラだった黒桐も、劇中ではその話を聞いてさすがに怒りを感じていた様子です。
当たり前さね。

さて、その被害者の浅上藤乃がその一連を切っ掛けに能力を発動させてしまうわけですが、殺された方は自業自得なので、感情的には彼女に同情してしまう。
それでも無差別になりつつあるとなると話が変わってくるんだけど、式側はある人物からの依頼で藤乃を探し、止めるもしくは殺すという手段に出てくる。
一章ではハッキリ分からなかった伽藍の堂がどうもそういう依頼を受けているらしいことが分かり、探偵っぽい展開と対決があり、感情的には収まりのつくエンディングがあって、単品の作品でも割と分かりやすく観れた。
式の義手の理由についても明かされるわけで、次第に話が見えつつあるという感覚が納得感につながっているのかもしれない。

演出については、作風としての統一感はもちろんあるんだけど、一~二章に比べて式の口数が多い気がしたのがなんだか不思議な感じ。
まあこれは原作通りなのかもしれないけどね。

対決場面では超能力バトル気味な展開になるけど、個人的には“捻る”ことの重量感があまり感じられなかったのが物足りなかったか。
まあキャラクターや動作に重力や重心を感じ取りにくいというのは、ここ最近のアニメ全般に言えることではある。
この「空の境界」シリーズのクォリティは総じて高いと思っているので、「あえて言えば」的なところです。
円柱野郎

円柱野郎