Punisher田中

天使にラブ・ソングを…のPunisher田中のレビュー・感想・評価

天使にラブ・ソングを…(1992年製作の映画)
4.0
アメリカのとあるナイトクラブの歌手をしているデロリスは、大物マフィアのボス・ヴィンスの愛人。
しかしある日、ヴィンスが裏切り者を始末する現場を目撃してしまい、命を狙われることとなってしまう。
重要参考人として警察に保護されたデロリスは、ヴィンスの裁判の日まで命を狙われないように、聖キャサリン修道院に匿われることになる。
今迄の生活とは全く真反対の堅苦しい生活にデロリスは四苦八苦。何回も修道院から出て行こうとするが、次第に修道院のシスター達とも打ち解け始め、やがて聖歌隊の指揮者を任されるように。
下手糞な聖歌隊を歌手だった頃の知識と経験を用いて鍛え上げ、退屈な聖歌にアレンジを加えたことで一躍修道院を人気にしてしまう。
修道院達とも固い絆で結ばれていくデロリスだったが、ヴィンスの魔の手がジワジワと迫っていた。

久々の金曜ロードショー!
いやぁー!!まさか、金曜の仕事終わりに金曜ロードショーが見れるとはね!!
超幸せだったよ!
5歳くらい?の頃しか見たことなかった今作、実質初鑑賞。
ストーリーはシンプルでありながらも綺麗に纏まっている、しっかり完成された素晴らしい作品だった。
マフィアに命を狙われるといったシリアスになりがちな重いストーリーなのにもかかわらず、コミカルに表現されているのが凄いよね、コメディでこんなストーリーなかなか思いつかないぜ....

歌の力を見事に可視化させた本作の歌唱シーンは本当に凄いものが詰まっている。デロリスと修道院の未来に立ち込める暗雲を切り開くかのようなアップテンポのゴスペルは、特に心を鷲掴みにする物をなにか感じた。
また、修道女の仕事について理解がない方々でも、デロリスが「これって本当に必要なことなの?」「なんでここに行くのはダメ、これをするのはダメなの?」としっかり僕達が聞きたいことを聞いてくれるところ等、かなり細かいところまで気を使われている。

それに、修道女はデロリス以外は全員白人。デロリスが修道女達と打ち解け、深い絆を築き上げていく様は今作を通して「肌の色なんて関係ない」と訴えているようだった。人種で見てしまうのは僕の心が汚い表れだが、人種差別に対して異議を唱えている作品でもあると感じた。
今作が傑作と言われる所以を肌で感じることができた金曜日だった。ありがとう。