亘

陽のあたる場所の亘のレビュー・感想・評価

陽のあたる場所(1951年製作の映画)
3.7
ジョージは田舎者で貧乏で教育もないが、運よく叔父の経営する有名企業で働けることになる。彼は同僚のアリスと恋に落ちるが一方で上流階級の娘アンジェラに一目惚れする。

話としては不倫からのサスペンスっていう見慣れた感じだけど、後世の作品に影響を与えた古典的な、原点のような作品だと思う。上流階級の女性と出会うという設定はウディ・アレンの『マッチポイント』に似ているし、田舎者が親戚の会社に入るという設定は『摩天楼はバラ色に』と重なる。他にもいろいろとありそう。

この作品は資本主義を批判した作品とも言われていて、確かに[上流階級:叔父とアンジェラ]、[労働者階級:ジョージとアリス]という風に分かれてる。事件の影響を免れる叔父たちと完全に悪者扱いされるジョージの明暗ははっきり分かれているけど、もう少しくっきり階級間の明暗を分けてもいいかなと感じた。特にジョージは労働者階級のアリスを捨て上流階級のアンジェラをとろうとするけど、アンジェラには一目惚れしたわけだし上流階級の生活に憧れてアンジェラをとったと言いきれないように感じた。

ラスト直前に牧師がジョージを諭す。キリスト教の教えは宗教的な面もあるけど、ジョージの母親が教会の手伝いをしていたことから彼のルーツを表しているような気がする。ジョージは都会でバリバリ働いていたけど結局貧乏で田舎者という背景とか環境から得た考え方は拭えなかったんじゃないかな。それもまた階級格差を表しているように感じた。

印象に残ったシーン:刑務所に母、アンジェラ、牧師が来るシーン。

印象に残ったセリフ:「会った時から好きだった、もしかしたら会う前から好きだった」「若さの浪費ね」「私達は別れるために出会ったのね」
亘