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或る夜の出来事のTSのレビュー・感想・評価

或る夜の出来事(1934年製作の映画)
3.9
【王道の恋愛コメディ映画】82点
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監督:フランク・キャプラ
製作国:アメリカ
ジャンル:恋愛・コメディ
収録時間:105分
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第7回(1935)アカデミー賞作品賞受賞
とてつもなくベタな恋愛コメディ映画です。しかし、これらの要素が後世の映画に与えた影響は計り知れません。恐らく大真面目に作られているにも関わらず、どこかふふふと微笑んでしまう、そんな良作です。

新聞記者のピーターは上司と一悶着あり失業してしまう。時を同じくして令嬢のエリーは、飛行士であるウェストリーの結婚に父から反対されていた。ヨットに監禁されていたエリーは反発し、海に飛び出るのだが。。

どこが今作をコメディたらしめてるのかといえば、ほとんど最初から最後までです。あらすじにも描いた通り、ヨットに監禁するという設定からぶっ飛んでますし、反発して海に飛び込んで泳いで逃げていくというエリーの行動にも笑わされてしまいます。そんな中、失業中のピーターと令嬢のエリーは夜行バスで鉢合わせします。というか1930年代から夜行バスなんてあったのですね。夜行バスと言えど音楽隊はいるし車内販売もあるし結構楽しそう。大雨が降る中バスが走っていくのもどこか風情があり、こんな経験少ししてみたいなと思ってしまうのは自分だけでしょうか。

今作は、現代においては恥ずかしいほどベタな展開を平気で行なうのが素晴らしいです。しかし、ベタと思えるからにはどこかに原点があるはずです。今作はその原点の一つになる作品なのだと思えます。ヒッチハイクの止め方はまだしも、女性への口説き方、いびきなどなど、コメディによくあるシーンが多々みられます。大爆笑とまではいきませんが今見てもクスクス笑える作品であると思えます。

特に良かったのが、ピーターとシェプリーのやり取り。このピーターという男は序盤から機転の利く男でありまして、シェプリーに対しても唸らされるほど巧い返しをしていきます。シェプリーは狡猾でしたが最後は気の毒なほど惨めでしたね。このシーンも現代でもよくありそうなコメディシーンと言えそうです。

ジェリコの壁と呼んだ布をベッドの間にかけているのも面白いですし、コメディ要素が数多く詰まった今作は見事アカデミー賞5部門を受賞。映画史に残る恋愛コメディ映画です。個人的には終盤の主人公たちのやや身勝手な行動が少し鼻につきましたが、おおむね良作であると感じられました。
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