とり

チャップリンの殺人狂時代のとりのネタバレレビュー・内容・結末

チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

喜劇王チャップリンの長編作品の中ではかなり笑いが少なく、文学的な香り。
名画座でフィルム上映してくれたので久しぶりに観たんですが、オーソン・ウェルズ原案であることを初めて知りました!
どこまでウェルズ案でどのあたりからチャップリンの思想が込められてるのかっていうのが気になるところ。
職業としての殺人を、時にはドタバタを交えつつ描いており、紳士的なふるまいのチャップリンの裏側に空恐ろしいものを感じます。
30年間真面目に勤めてきた銀行員が、殺人業に転職してもやはり淡々とスマートに仕事をこなす。
あちこち何人もの有閑マダムを相手にスケジュールは常にビッシリ。
マメマメしさが笑えると同時に、現代の働きすぎサラリーマンとちょっと重なる部分もあり、あくまでもビジネスとして殺人を繰り返しているチャップリンというキャラクターを受け入れやすい。
毒薬の実験台探しの時にたまたま出会う女性とのエピソードは深い。
ちょっとした小ネタでクスリと笑える部分とジワーと心に何かが芽生えてくる部分が絶妙に混ざっていて、有名なラストのセリフと同じくらいにこの映画で重要な位置を占めてると思う。
ラストの「一人殺せば殺人で何百万人も殺すと英雄」というセリフ。
裁判でしれっとこともなげに語るチャップリンが圧倒的。
その彼が絞首台に向かう後姿には、物凄く色んなメッセージがこめられてると思います。
その全てを理解したい、受け取りたいと思うけど、なかなか難しい・・・。
北千住シネマブルースタジオ
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