ひでG

魔術師のひでGのレビュー・感想・評価

魔術師(1958年製作の映画)
3.8
不思議な作品。
58年、ベルイマンの中期にあたるもの。

つい2.3年前に、「叫びとささやき」で、ベルイマンの脅威的な映像力に
遅まきながら、衝撃を受けた僕だが、

今回は、多分彼の作品の中では、軽い語り口の部類に入るんだろうか?

旅興行をしている奇術団、
何やら怪しい面々ばかり。

やたらとテンションの高い、マネージャー風の男。

不気味なことを語る老婆

喋らない博士風の男、

明らかに男装している女

馬車を走らせる若い男

彼らはある町の興行許可を得るために、
その町の上層部の男たちと会う。

そこで繰り広げられる一夜の出来事。

どこまでが真実で、どこまでが作りものか

町側の人間、宿舎の女たち、

そして、奇術団の面々が、

織りなす複数の関係、

愛欲と打算と、

騙しと体裁と、、

魔術と法と、、、

喜劇とオカルト、、、、

いろんな要素が一緒くたんに展開していく

なんとも不思議な作品。

ラストのオカルトシーンの迫力は、
近年の音だけショック作品に比べて数段
鋭く、恐ろしい!

その後、一転、喜劇風の終わり方をしていくのだが、

観客に行き先を教えない、とても個性的な作風、

面白いというのか、何とも語りきれない。

また、また、今の自分の限界を感じされる世界となった。

目に見えるものは、真実とは限らない、
とも限らない、、、

と幾重にも重否定しているようなメッセージとして、少なくとも、今の僕は
捉えました。

ベルイマン、もっと観ていきたいです!
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