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キング・オブ・コメディのmomokaのレビュー・感想・評価

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.1
うん、狂気…。この作品には、その一言がいちばん合うような気がする。終始漂う気味悪さと不快感。観終わったあと、どう感想を綴ったら良いのか分からなくなった。だが、確かに『Joker』に通ずるところがあるという印象は受けた。この作品を観てから鑑賞していたら、もっと深く『Joker』について考察できていたかもしれないと感じる。

「ドン底で終わるより、一夜の王になりたい」
コメディアンとして花開きたいというパプキンの切なる思いがこの一言に表されていると思った。
幻想に取り憑かれ、現実との境目が分からなくなる。彼にとってはただ純粋に夢を追い求めているだけなのだが、その純粋さが狂気を生み出していく。そんな様子をロバート・デ・ニーロが見事に表現していて、やはりさすがの演技力だなと。

また、熱狂的なジェリーのファンのサンドラ・バーンハート演じる、マーシャもこの作品の良いアクセントになっている。こちらも見事に狂気じみていた。しかしながら、同時に自らだってパプキンやマーシャのように何かのはずみで ”はみ出し者” になってしまうことがあるかもしれないという恐ろしさも感じた。いや、傍から見たらもしかするとそうした目で見られている瞬間が既にあるのかなとも。

ラストも、下手にパプキンの夢なのか現実なのか明らかにさせない曖昧な感じが良い。
『Taxi Driver』も観たことだし、『Joker』を再鑑賞するのもいいかもしれないなと思った。
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