うにたべたい

電送人間のうにたべたいのレビュー・感想・評価

電送人間(1960年製作の映画)
4.3
変身人間シリーズ2作目。
マタンゴを含めると全4作品のシリーズですが、マタンゴを除く3作で彼ら変身人間たちは、殺人を犯す犯罪者であり(液体人間はその意識があったのか疑問ですが)、警察に追われているという共通点があります。
そういう意味では、無人島で極限状態に置かれる若者を描いたマタンゴは異質で、変身人間シリーズとしては正式にナンバリングされないというのも頷けると思いました。
本作の電送人間も、タイトルの通り人間の伝送システムを使い自分を殺そうとした男たちに復讐を果たす内容で、動機や手段が丁寧に描かれたSFホラーな作品でした。

電送人間・須藤役、中丸忠雄さんの、不気味な笑いを浮かべながら犯行を重ねる雰囲気は怪演でした。
ただ、電送人間は、液体人間、ガス人間と違い、人間それ自体が変質する訳では無いので、怪奇的な意味では低めだと思います。
私的には、本作にはホラーというよりも江戸川乱歩の探偵小説に近いものを感じました。
ラストは、結構フツっと終わるのですが、電送人間という設定を活かした不気味な終わり方になっていて、エピローグを残さないところがその後を想像させて良かったと思います。

電送人間といえばキャバレー「DAIHONEI」ですね。
サービスタイムには、全身金色に塗ったお姉さんが踊り、ボーイは軍人、嬢はミニスカの海兵姿でサービスをして、注文をすると敬礼して注文を復唱してくれるお店です。
元ネタがあるのかは存じないですが、セーラーの嬢は妙の色気があって、実在するなら行きたい、是非に行ってみたい。
液体人間の時にもキャバレーの描写がありましたが、この頃のキャバレーはおおっぴらで非常に楽しそうなんですよね。
ぶっちゃけこのキャバレーシーン自体、作品として必要なシーんだったか微妙なところですが、作品の内容とは別の意味で楽しいシーンだったと思います。

全作見ましたが、変身人間シリーズは全て安定して面白かった。
どの作品もおすすめです。