彦次郎

何が彼女をそうさせたかの彦次郎のレビュー・感想・評価

何が彼女をそうさせたか(1930年製作の映画)
3.8
非情な社会と運命に翻弄される少女を描いたサイレント映画。1930年という公開年から察するに当時の世界恐慌も影響していると思われます。
娘を残し自殺する父親(途中まで娘は知らないまま)、金を横領してサーカスに売り飛ばす親戚、奴隷商人のような鬼親方、人を打ち込むだけの機械的な施設職員、エロ師匠、高慢不快な議員夫人、エセ宗教家等と不幸を形成させる面々の充実度!(未公開シーンでは詐欺師もいる)
感情の制御ができない愚か者の様にも見えますが彼女が正規の学校教育を受けていない事を考慮しなくてはなりません。文盲かつ他者とのコミニュケーション不足から無知になり陥れられたとも解釈できます。
文部省推薦作品として「なぜ学校に行くのか」という教材にもなり得そうです。
さてラストですがフィルム紛失により字幕で完結。打ち切り漫画のようですが完全版は素晴らしかったと推察されます。間接的に戦争被害も訴えた作品といえましょう。
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