著名なアメリカ人外科医が東欧のある国から招待を受ける。
医学への貢献に対する受賞と公開手術の依頼だった。
「政治と医学は別」と仲間の反対を押し切ってひとり" State Secret "秘密国家に向かった男の話。
全体的にヒッチコックの雰囲気が漂ってると思ったら、脚本・監督のシドニー・ギリアットは「バルカン超特急」の脚本家。
国民の99%が支持するその国の将軍の秘密を知ってしまったアメリカ人医師は無事に帰れるのか…。
70年以上前の作品なのに現在の世界情勢を考えると、独裁国家の恐ろしさがやけにリアルに感じられた。
独裁国家じゃなくても為政者の隠蔽体質は古今東西変わらないとは思うけど。
この作品の面白さは秘密国家の国民が話す言葉がこの作品の為に作られた架空の言語だという事。
字幕も出ないので観ている私たちは誰も会話の内容が理解出来ないのだ。笑
もう一つの面白さは秘密を知ったが為に帰国させてもらえない医師が、その秘密をわざと共有させて相手に協力させるという展開。
周知の事実となってしまえば何も怖くないのに、自分だけが知っている為に国家権力から命を狙われる…その辺に独裁国家の恐ろしさが表れている。
医師の脱出に巻き込まれた踊り子と富豪の男のキャラクターが魅力的だった。
平然と殺害予告しておいて、自分が失職した時は仕事宜しく!みたいな事言う大佐もある意味笑いのツボ。
映画好きの和田誠さんがとてもお気に入りだったらしいけど、当時としては奇想天外な話で映像的(絶壁の場面)にも大ヒットしたのは理解出来ました。