このレビューはネタバレを含みます
もし俺が神だったなら…
抜け殻となった世界に文明の火は喪われ、
そこには神も希望もない。
全ては産み出す事を止め、日々荒廃は進む。
人々は心を喪い、いずれ全てを食い尽くすことを目的にするかの様にただ生きる。
木の根、土塊、食えぬものを食えぬと割り切れば、残るは「人」を肉として奪い合う道。
手の施しようのない世界に産まれた息子。
その息子を生かす為に連れて旅立つ父親。
彼らは心の中の火を運ぶ。
世界が崩壊する前、命を授かった瞬間、
父には父として当たり前に描いた夢があった。
描いた夢は叶うまい。
しかし、せめて生きて欲しい。
少しでも長く、そして出来ることならば、
常に己の心に誇りを持って欲しい、
「良い人間」になって欲しいと願う。
ただ生きること・生かす事にすら苦悩は付き纏う。
こんな世界に、神の去った地上に
天使は降りてはいけなかったのか?
毎夜悪夢の様に父を苛む理に、返す答えはない。
ただ、強くあろう。
まだ、柔らかな心を持つ最後の希望を、
弱さ故に狂気に走る様な者にはすまい。
どんなに辛かろうと、
どんなに悲しかろうと、
強い父親であろう。
どんなことがあってもいつも傍にいる。
パパの心はお前のもの。
いつでも、いつまでも、お前を護る。