チッコーネ

コースト・ガードのチッコーネのレビュー・感想・評価

コースト・ガード(2001年製作の映画)
3.0
冒頭のテロップで、朝鮮半島の複雑な近代を突きつけられた。
知っているはずなのに「世界で唯一」と聞くと改めてショッキング、果敢な主題選びはリスペクトに値する。

オンラインでのみ強気な近年のネトウヨと比べると、単細胞なだけに危ない右寄りの戦争好事家が、ひと昔前の日本にも結構いたような気がする(まぁ齢を食ったというだけで、今もいるのだろうが)。
ヨン様やウォンビンらと並ぶ韓流四天王のひとり、チャン・ドンゴンを捕まえて、そのテのキチ●イ役をあてがう監督はすごいのだが、前半に比べ後半は、彼の出番が意外なほど少なめだ。
軍隊内の腐敗や狂女の描写こそ監督が撮りたかったものなのだろうが、全体の印象は散漫。
例えば『タクシードライバー』でポール・シュレイダー/デ・ニーロが表現した狂気のように、本来ならアンチヒーローの見せ場となるはずのラストシーンも、スムーズに流れてはこなかった。
出来不出来の差が激しい監督作の中では、不出来な部類に入るだろう。

しかしチャン・ドンゴンの何とハンサムなこと。
不細工な俳優が演じたら不快でしかないキャラクターが、彼の魅力で『極上のM』にまで高められている。