manami

阿弥陀堂だよりのmanamiのレビュー・感想・評価

阿弥陀堂だより(2002年製作の映画)
-
寺尾さんと樋口さんが並んで出てくるだけで、画面がいっきに引き締まる。と同時に温かい空気も感じられる。他の役者さんも皆素晴らしい。
みちこは医師として働く時、幸田先生宅を訪れる時、夫と二人きりの時、それぞれ顔つきまでも違っていて、社会で生きている一個人のリアリティを感じる。さらに、美しく季節が移ろうにつれ、不安が和らいでいくのが丁寧に表現されている。
そして彼女やその夫が関わることになる、阿弥陀堂のおうめさん。あくまでも自然体。川の流れになってみたりと自然とともに日々を過ごしている。
もう一人のキーパーソン、幸田先生。あそこまで自分を律して生きていると、死ぬ時まで生き様を貫けるものなのか。彼のシーンになる度、背筋の伸びる思いでした。
おうめさんと幸田先生は、ある意味対照的にも見える。でも、「謙虚」というのが共通点かな。みちこが「良い医者には謙虚さが必要」と話してたけど、「良く生きる、良く老いる」ためにも謙虚さが必要なんだろう。
生まれる、生まれない、育つ、老いる、病む、癒える、様々な命のお話。

132
manami

manami