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わが友イワン・ラプシンのmfgのネタバレレビュー・内容・結末

わが友イワン・ラプシン(1984年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます



ソ連 ロシア映画好き
アレクセイ・ゲルマン監督作好き
暗澹として…非情なほど淡々とした描き方で…etc…独特な雰囲気好き

モノクロとカラー/言葉にできない感情を鮮烈に表現する静寂 沈黙/カメラワーク/詩的な台詞 哲学的な台詞/



ある男(語り手)の愛の告白
・気だるい日にふと思い出す遠い昔の悲しい話
・今では考えられない貧しい暮らし…いつも冷たい風が吹いていた住まいがあった通り…公園 川 汽船 桟橋 旗 etc…思い出の詰まった最果ての町
・(“そんな環境でも私たちは不自由を感じることもなく助け合って生きていた”)
・孫を持つ歳になり…(半世紀前の話)
・追憶の彼方でよみがえる大切な人たちの顔や声…子供時代に身近にいた人々へ…

時は1935年…

周りの大人たちを見つめる“9歳の私”の純粋無垢な瞳

イワン・ラプシンについて…
いい人なのに…どこか残念で…なんか報われなくて…哀愁…
しかしその打たれ強さは渋くてかっこいい…人間としての美徳…!(武士は食わねど高楊枝 漢気 義理人情 仁義)
(⇔おバカな女にはなりたくないもの…こんなんじゃどこに行っても真の幸せを得ることはできないだろう…)

辛く厳しい情勢下における無力な民衆の悲喜交々
そんな中、力強く(しかし時に繊細に…) 人情味厚く 寛容に(しかし時に冷酷非情に…)etc…とにかく必死に生きていく人々

荒廃した人々の心(自殺を図ったり…“犯罪社会”だったり…)や街並み…“(夢で)死に直面したのに嬉しかった”というような現実… etc…
⇔国家を称賛し…“喜ばしい時代”と称し…軍歌を高らかに歌い… etc…

ミネラル水⇔バケツの水/“上級研修”という名の“強化 矯正”/市電てっぺんにスターリンの肖像を掲げ 荷台には軍歌を高らかに演奏する楽器隊

時代は変わりゆくもの…どうか「自由・民主・信仰」をモットーとした平和で美しい世界が訪れますように…








“9歳の私”
(“カイイキ(=海域)”も分からぬ年端も行かぬ幼き頃…)

警察官舎にて…
声がよく響く/カーテンもない/語り手父子は台所の先の部屋/脚を曲げなければならない小さな布団/ラジオ禁止/“(住み始めれば)今日からお前に自由はない”/


父:

経理主任:
トチリン全権委員と共に「褐色の疫病(ファシスト)」(←1935年当時 大人気の芝居)の一幕を演じた/警察官舎での大熱演でご機嫌取り?/

イワン・ラプシン:
刑事課長/当時40歳(パトリケおばさんからのパイと 父子からの金属製のタバコ入れのプレゼント)/
別れ行く者に名残惜しまれる人柄(非党員のホフリャコフからの“遊びに来いよ”とか“一緒に田舎へ”との誘い)/
飛行機の夢に涙/
人々から愛される存在
(チョコを勧められたり…/“街の平和を守るラプシン刑事” “数々の難事件を解決してきた”として/)
娼婦は専門外/
殺人犯は“人でなし”と分析/
“極上のスープ”も召し上がらずに助演女優を追う人の良さ
→元気のいい娼婦を紹介(同行男性有)/
咥えタバコにバイク(A275)がいいね
“(娼婦に対し)お前には罪を償うというもっと大事な仕事がある”
お尋ね者ソロビヨフ一味を追っている
落ち目っぽい助演女優を誠実実直不器用に応援する感じ(鏡に映る自分を気にしながら“君なら大丈夫だよ”と真の言葉で)が…いい…
空色の目

非党員のホフリャコフ:

パトリケおばさん:
お見合いの勧め(お相手は消防署のジイさん)は“大きなお世話よ”とお断り/
辛い過去あり…?
(亭主を殺して食っちまった…?本名(パトリーエヴェナ)は変…?通り名…?)/

倉庫係のアコーシキン:
なんか小狡そう…?おバカそう…?でも絶妙に残念キャラっぽくもあって…笑/交換台を通して彼女(計量係のクラーワ)へ通話/
人間としての器が小さい嫌な奴感…ロクデナシ感…
(“(去って行ったホフリャコフに対し)本当に嫌な奴だな”と言ったり…砂糖消費激しいくせに砂糖すら買ってくれないケチンボだったり/世話になってるパトリケおばさんの辛い過去を論い脅しに使ったり…ちょっとしたじゃれあいにも“笑うな”と怒ったり…)/
薪の横流しに関与…?(←“この薪こそが殺しの発端だった”)
いじられキャラ感


当時の背景その他:
党員か非党員かによる厳しい制約
(全人民的な保養所(ボルジョミ…空気のうまいいい所)には行けず…/除名でなくとも 女房が坊さんの娘(出会いはルィリスク)であれば非党員に…/(“いい女房なんだ 仕方ない”と言えるその愛こそが本当は素晴らしいものなのに…)/)

“戦争の足音は日ごと近くなり たびたび話題に上った”

“敵は戦力というものをまるで考えていない”
“(敵は)今はバルチック海域にいる”

“メッサーシュミット機”
重量挙げ
“どうせ口笛を吹くなら行進曲にしろ 行進曲には我が国の青春があるからな”
“カリーニン同志に投書するよ”との脅し文句
役者たちによる薪の横流し
運送人は礼儀知らず?馬が礼儀知らず?



残念な出来のサラダ

娼婦役助演女優:
新作の役作りとして刑事に娼婦の紹介を依頼/「ダイーシ」の香水/
(更生訓練の一環で運河建設をしてる囚人)
おバカ女感…
(刑事を訪ねて時計の預かり証を身分証がわりに出す始末/)
大失敗して干された過去、今は児童劇のジャガイモ役(台詞は“土を持って”だけ)
→娼婦役への並々ならぬ意気込み

“市電乗り場(“辻馬車駅”)”



元気のいい娼婦:
舟二杯と毛織物を強盗/
根は真面目…?(助演女優と台本練習→照れ隠しに助演女優を襲った…?)

チェス
地下から運び出される遺体
ガソリン

悪名高きお尋ね者ソロビヨフ:
3年前に逮捕され 市役所職員殺害の罪で死刑を宣告されたが、まんまと脱獄し 再び追われる身となった

“地上のゴミを一掃して楽園を作って生きてるうちにそこに引っ越そう”



火の神プロメテウス
スペインの酒とビール(お砂糖をお供に)で歓待
燃料不足は行政の怠慢
停電で大混乱
飲めや歌えや踊れのバカ騒ぎ

奇遇にも執筆家と再会
(アルダンの金鉱への誘い/)

執筆家(“デカ鼻さん”):
ある飛行士の伝記を執筆中/6日前に女房を亡くし…(執筆家の留守中にジフテリアで心臓マヒ)/(→…とは思えぬほどの遊び人感も…)/

“親父は軍楽隊にいた”とのことでご自慢のデカ鼻で鼻楽器技を披露したり…女優に甘い言葉を囁いたり…

“斬新な発想”
(“動物のそばでは禁煙です”と敬礼する子供/“キツネが遠くの森へ雄鳥をさらっていった”)
新しいゲーム“夜間飛行”
元サーカスの衣装係
どんな時にも軍歌

戯れ 悪ふざけ
(ターゲットは倉庫係/両手に花の倉庫係に助演女優が接近し 女房役を熱演するドッキリ/→自身の大根演技に満足気な助演女優/(⇔何も知らない通りがかりの老婆の言葉(“奥さん もっとプライドをお持ちなさい この国の女性はもっと自立するべきよ”))


警察官舎に転がり込んだ直後に自殺を試みる執筆家
→おびえやがって未遂に終わり…
(深く触れずにさらっと流す人々の配慮(黙ってスープを提供するおばさん/何事もなかったかのように口笛を吹く父/“おやすみ 明日は俺の仕事(悪党狩り)に同行しろ” とか “(“俺に構うな”と言われても)捨てた命は戻ってこないぜ”とか…自殺志願者に明日や使命を与える刑事)/…そして空気を読めない倉庫係の乱入(…でも怒る他者を宥めることで自殺志願者が死から目を背けられた良い面もあるのかも…?)/(→怒って宥められてる間にかかってきた女からの電話で10日間の出張中ということにされちゃう倉庫係の残念さ…笑 父も笑))
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