このレビューはネタバレを含みます
とても好き
なんか芸術 哲学 文学を感じる
映像美…
退廃の美…?憂の美…?
沈黙は語るというか…余白は語るというか…?
ただひたすらに荒廃…
(人の心も…街並みも…)
趣深くて深い台詞
物事に対する深い考察 洞察
達観した人生観
人の世の無情 虚しさ
端々に神への信仰心やこの世ならざるもの 霊的人生観が感じられる
人間の心の闇に深く穿つ
時に鑑賞者に強くに訴えかけてくるような視線も
鑑賞後 すごい…!しか残らない圧倒的
この世を去ったあの世の世界 実在界を彷彿とさせるような“ゾーン”の存在
3人が3人とも自分を責め過ぎ…?
自分を許し他人を許す寛容さが必要なのでは…?
…かつ、自分の不幸を他人のせいや環境のせいにしてはならない
☆
“「ゾーン」”
案内人
“俺にとってはどこでも牢獄だ”
貧しく…希望なく…
妻と子を置いてゾーンへ
時代の退屈さを嘆く酔っ払い男(=“作家”)
蛍光灯の切れかけたバー
初顔合わせ
“教授”
(専門は物理学)
バーのマスターに家族を頼む案内人
☆
Chapter2
“ゾーン”:
物理学者でも縁起を担ぎたくなるような場所…?
思想信条背景その他全く異質な凸凹トリオ
車で往く
荒廃した街並みを…/舗装されていないガラクタだらけの道/銃撃に晒されながらも…/線路の上も…
教授
自分というものや人生というものに対する哲学的疑問
“軌道車”
“監視所”
トロッコで往く
景色/雄大な自然/丸太
教授の毛玉だらけの帽子がなんともかわいい
案内人の部分白髪に心的ストレスの過多が感じられるような…
☆
Chapter3
カラー映像
傾いた電柱
案内人の住まいに到着
・曰く“世界一静か”“美しくて誰もいない場所”
(→“私たちがいる”、“(→“3人では何も変わりませんよ”に対し)変えられるとも”)
・“花の香り”→“泥の匂いしかしない”
(“ジカブラス”により踏み荒らされた花壇/何年も残っていた花の香りも雲散霧消)
・→“ジカブラス(=“ヤマアラシ”を意味するあだ名)”
(踏み荒らした理由は謎(“いずれ分かる”)/ゾーンをよく知り かつ 憎む/かつての案内人の師で 皆から“先生”と呼ばれていた/ある事件がおこりいかれてしまった(…“罰を受けたように”)/(←教授による解説:ゾーンから戻るや否や大富豪になり…→1週間後に首を吊る))
教授による解説(案内人について):
・ゾーンにあいさつへ
・作家が想像していた“蛇の彫り物をした荒くれ”などではなく、“つらい人生を歩んで”いる者
・何度も投獄されて苦しみ 生まれた娘は“ミュータント(…脚がない)”
独り生い茂る背の高い雑草の中に独り埋もれる案内人
教授×作家
教授による解説(村について):
20年ほど前 隕石が落ちて村が焼かれた
(※隕石を探しても“もちろん”結果は分からない(“もちろん”→ 来た人は誰も戻って来なかった))
↓
隕石の落下ではないという可能性が考えられる
↓
当座しのぎで鉄条網を張りめぐらし立ち入り禁止とする
↓
“ゾーンに行けば願い事がかなう”という噂が立ち始める
↓
願い事をかなえようと人が押し寄せぬように警戒が強化される
(※隕石でないとすると…な真実は未だ不明)
考察:
人類へのメッセージ…?または贈り物…?(教授同僚の考え)
(→“贈り物ならありがたいがなぜそんな好意を?”→“私たちの幸せのために”)
☆
合流
また咲いてはいるがなぜか匂いのしない花
人声…?ゾーン発生時にここに来た人々の声…?
(→“そんなことはあり得ません”と断言する案内人だが…)
主導権を握る案内人
⇔指示命令に対し何の抗議も無く静かに従順に従う教授と作家
(トロッコのみ再出発させちゃう案内人に対しても 去りゆくトロッコ静かに見送り…/帰路も(とりあえず帰りはここを通らないらしい)…道筋も行進順も…/教授を先頭に(その次は作家)電柱を目標にして いざ前進/(※はぐれると危険))
…素直に従順に従うしかない2人の姿がなんとも…
無惨な車両の残骸
(乗ってきた人々…どこかを侵略するような勢いでゾーンを目指し来たり 駅に群がった人々…その後の顛末は神のみぞ知る…?)
…人間の醜い欲望 強欲さに対する神の怒り…?
包帯付きナットを投げて安全確認しながら少しずつ慎重に進む
“部屋”
…手が届く距離にあるように見えて実はそうではない…?
(長い手があれば…?/一直線には行けない…?回り道をしなければならない…?/“まっすぐが1番近道とは限りません”)
作家と道を分つ
・ゾーンの危険さ神聖さを理解できず…
(慎重に進む教授/ゾーンの神聖さを重んじる案内人⇔口笛吹きつつ…な作家)
(※手を触れてはならない/※ゾーンは神聖な場所/※無礼な作法は罰せられる))
・包帯付きナット歩行にもうんざり
(まっすぐ道or回り道(※どのみち危ない道)→ まっすぐ進む選択)
・ウォッカを呑もうとしたり…
(…しかし奪わて 撒かれ …)
責任の在処の確認を済ませた上で “幸運を祈ります”と見送られ…
意味深な忠告も…
(“万が一のとき なにか特別なものを感じたりしたらすぐ戻ってください”)
☆
誰が作家を止めたのか…?
“ゾーン”情報:
罠のシステム
はまれば死ぬ
無人のときはともあれ人が入ってくると活動を始める
古い罠が消えて新しい罠が生まれ 安全だったところも危険になる
単純に見えた道筋もときに混乱に転じてゆく
精神状態の反映であり 全ては自分次第
(道半ばで引き返すしかなかった人や “部屋”を目前に亡くなった人も…)
絶望した人間(善悪に関係なく不幸な者)を通す…?
(※不幸な者でも己を失うと破滅(←案内人自身の師の死について…?))
警告してもらえた作家は幸運…?
真摯にゾーンの危険性を訴え 退却を勧める案内人
(料金を返金してまで(※手間賃を少し差し引くが…笑)帰ることを強く勧める)
どこか飄々としてというか 我関せずというか 他人事感というか…?な教授
やっぱり進む選択をする探究心の強い作家
(無神論者…?縁起を担ぐ教授に対する追及とかも…)
☆
Chapter4
“第2部”
だらだら気味な作家と教授
“振動させ続けなさい”
…弱さと強さ/やわらかさと堅さ/生と死
“振動させ続けなさい あなたの心に生じたその響きを”
“情熱と称するものは魂の力ではなくて魂と外界の摩擦だ”
“気をいっぱいにして脆弱であれ 幼子のように弱くあれ”
“弱いことは偉大であり 強いことは無価値だ”
“人は生まれたときは弱くやわらかい 死ぬときは堅く干からびている”
“木は生長するときやわらかくしなやかだ 乾き堅くなると木は枯れる”
“堅さと強さは死の仲間だ やわらかさと弱さはみずみずしさの表れだ”
“堅くなったものは勝つことがない”
☆
…→からの“乾いた(←)トンネル”
リュックを置いてきちゃった教授
直線距離だと200メートルだが回り道をせねばならない
自分に都合のいいように理屈を捏ねる作家…唯物論者的悪魔的囁き…?
(“経験主義など捨てなさい 奇跡の邪魔ですよ 聖ペテロでさえ溺れかけた”)
“悪い(…すぎる 笑)冗談”
…“乾いたトンネル”とは名ばかりのびしゃびしゃ濡れ濡れのトンネル
はぐれちゃった教授
リュックを取りに戻った…?
刻一刻変化するため待つことはできない
→再会
リュックを取りに戻っただけなのに 案内人と作家を追い越してた…?
ナットはジブラカスがわざわざ残した罠…?
なぜゾーンがこの3人を通したのか…?
あらゆる不思議の理由は“ゾーンだから”
案内人の信心深さ
☆
“今は一歩も動けません”
→休息タイムへ…
作家 vs. 教授 の皮肉合戦
案内人への問いかけとその答え
水の底に沈む諸々
横たわり微睡みながら…
作家の主義信条
☆
Chapter5
心象風景…?
もこもこ動く大地 巻き上がる砂塵
一節の詩
(“”)
セピア色
三途の川を彷彿とさせるような川
その中に横たわる案内人と寄り添う黒い犬
あの世への旅立ちを彷彿とさせるような…?
どんどん荷を捨てていくところとか…
“同じ道を戻ってはならない”とか…
水の底に沈む諸々にも 三途の川の底に沈むこの世的な財貨等を彷彿とさせるような…
この世への執着心を捨てなさいということ…?
☆
作家と教授の言い争い 批判合戦を詰るような一節
(“”)
…結局両者共真の価値あるものに気付いていない愚か者であるということ…?
音楽の価値を例に 真に価値あるもの 真に正しい価値観について問いかける案内人
(“”)
信仰心ある者の高貴な価値観…?達観…?悟り…?この世を超越した視点…?
☆
再び歩を進め…
薄気味悪い 先に行くのは遠慮したいような所へ…
臆病風に吹かれ始める作家に皮肉な展開
マッチのクジで大“当たり”し 先頭役に…
一度は無下した手法(物を投げて安全確認)を頼りたがるようになったり…
シリアスに歩を進めるようになったり…
潔くその不運を受け入れて先頭役を務めるとこ偉い
だいぶ距離を置いて後続する教授と案内人
☆
“ドアのようなもの”の先へ…
後ろからやんややんやの指示
プールの腰洗い槽みたいなとこを越えて…
「風の谷のナウシカ」の流砂の底みたいなとこ…?へ…
拳銃を捨て…薬を捨て…
☆
Chapter6
作家の “痔を押しつぶすような”心の苦しみ 心の闇の吐露
難所を無事に越えた作家の徳…?
ジカブラス弟の詩を誦じる案内人
案内人と作家の揉め事
作家のやさぐれた心と猜疑心
“肉挽きトンネル”
間違い電話
(診療所間違い/揉めてる最中でも電話をとるあたり作家の本当は人が良いとこが感じられるような…?)
教授の心の闇
(案内人が止めるのも聞かず “第9研究室”へ通話する教授/捨て身の覚悟的脅迫/それに応酬する通話相手からの呪いの言葉/)
通話終了後 やけっぱち気味というか…八つ当たり気味というか…な教授
やさぐれた思想信条を語り出す作家
そしてまた教授に激しく口撃開始…案内人に対しても猜疑心と強い恨み…?
⇔唯一の良心 案内人
突然一瞬灯る電球の強い光
黒い犬と骸骨と植物
☆
Chapter7
部屋の入り口へ…
最も重大な瞬間
部屋に入れば一番の望み 最も切実な心からの望みがかなえられる
部屋に入る前に…
やっぱり臆病風に吹かれちゃう作家
諸々言い訳が見苦しい…
キレちゃってる…(“気は確かだ”とのことだが…)?な教授
爆弾持参にて…
争い
案内人の心な苦しみ 心の闇の吐露
希望
現実逃避
他の人の幸せを望む心は素晴らしいけど…それだけに切なくて哀しい…
作家から案内人への非情な追撃
案内人の師の死に対する鋭い考察
超自然的な神秘的なものを信じないこととか この世を消極的に捉えたり破壊的思想絶望的思想を持つことは愚かだけど、他力信仰に陥り過ぎたり 現実から目を背けて現実逃避に走ったりするのもまた間違い
→自助努力によって自分自身で希望の未来を切り拓いていこうとする時に他力 異次元からの偉大なる力が及ぶのでは…?
小競り合いの意味も…ゾーンに来た意味も…分からなくなって3人で背中を合わせて座り込んで…
一瞬差し込む温かみのある光
案内人の観の転回
何もかも捨てる覚悟 ゼロから始めようとする気概大事!
つまらないプライドとかこだわりとかを捨てて執着なくさらさらと生きることを志すことこそ幸福への第一歩なのでは…?
そしてまた投げ捨てて…
☆
Chapter8
バー
付いてきちゃった黒い犬
案内人妻と子(“お猿”(※“ミュータント”なんかじゃない!))のお迎え
犬を5頭飼ってるバーのマスター
家族でバーを後にする後ろ姿をなんとも言えない表情で見送る教授と作家
バーの場面はセピア色
帰路に着く案内人一家
“お猿”を肩車して…やっぱり黒い犬も付いてきちゃって…
工場?の排煙もくもく
帰宅
セピア色
黒い犬にミルク
作家や教授に対する愚痴ぼやき
優しく介抱する妻
妻は絶対ゾーンに連れて行かない
☆
鑑賞者に対する妻の独語
☆
一編の詩
超能力を持つ案内人の子
(物を動かすサイコキネシス能力…?)
奇跡的力 超自然的な神秘的力 スーパーパワーに対する灯台下暗し的な…
クラシックとガタンゴトンでfin…