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きみに読む物語のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

きみに読む物語(2004年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

「ラブロマンス映画」と検索すれば必ずヒットする本作は『ロミオとジュリエット』の設定を現代劇に昇華した王道の恋物語だった。身分の異なる男女の禁断の恋。『ロミオとジュリエット』がロミオ、つまり男性の視点から物語が展開する一方で、本作は女性の視点からもフェアに物語を展開していた点に好感を持てる。

'Have to' or 'Want to'。自分の気の赴くまま生きるのが今以上に難しかった時代において、'Want to'を徐々に選び始める主人公たちに共感せずにはいられなかった。主人公の障壁となっていた母親もかつては義務感と欲望とのジレンマに苦しんだひとりであり、自分のかつての選択を正当化したい想いと自分の娘に幸せになって欲しいと言う想いに葛藤する姿を描いたことには本作の懐の広さを思い知らされる。

こういった映画を観ると今の自分がいかに自由に生きられているかを痛感する。もちろん不自由に感じることもあるが、少なくとも自分の人生が出自に影響されないだけでも十分に自由である。こういった現実に私は感謝しなければならない。
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