えいがうるふ

サイレントヒルのえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

サイレントヒル(2006年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

このゲームを愛してやまないオタクである監督が全力でそのコダワリを再現したというまさに究極のファンアートのような映画。
私自身は件のゲームは一度もプレイしたことがないが、ホラーらしく総じて惨たらしくダークな世界観の中にどこか洗練された美意識が感じられる映像とクリーチャーたちのキャラクターデザイン(特にナースと△様!)が秀逸でかなり気に入っている。

ストーリー展開がゲーム攻略そのものなのでその前提で観ないと話の展開の唐突さや無謀すぎる主人公の言動にかなり疑問が残る。怯えているはずの娘がなんで大好きなママから逃げ回るの?とか、なんでそこでわざわざ気味悪い物体に近づいて口の中に手を突っ込むの?とか・・・。
逆にいえばゲームを攻略しているだけと思えば別に怖くもないし全てのツッコミどころに「あーはいはい先に進まないとね」と寛容になれる。要は普通の映画鑑賞ではなくホラーゲームのプレイ動画のゴージャス版だと思えば心易く楽しめる。

それでも、作中で複数の登場人物がその言動で示唆するとおり、狂信的なカルト教祖の謀略や虐待という異常な状況がベースにあろうとも、それらをなお超越するシンプルな母子の絆を描いている点では最後までブレがないという点では意外なほど映画としてきっちり筋が通っていた。終盤の阿鼻叫喚の最中にラスボスと主人公とが親子愛で通じ合ってる描写なんてかなり切なくてもらい泣きしそうになり、強く印象に残った。
そして、助かった!と思いきやのエンディングの救われない余韻がまたなかなか良くて、さらにちょっと評価上げた。
万人にお勧めはしないが私は好きだ。