けーな

ナイロビの蜂のけーなのレビュー・感想・評価

ナイロビの蜂(2005年製作の映画)
3.6
単なるラブロマンス物かと思っていたが、全然違った。社会派サスペンスだった。
製薬会社と政府の陰謀、新薬の治験と、それに利用される貧しいアフリカの人々を描いた、とても奥深い話だった。

原作は、スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレで、アフリカで起こっている事実に基づいてこの物語を書いたのだそうだ。

陰謀に巻き込まれて亡くなる主人公夫婦の深い愛を描いている。しかし、サスペンスの部分は、面白かったが、夫婦の愛の形(特に妻の方)には、納得できない部分もあった。

夫の外交官ジャスティンを演じるレイフ・ファインズは、見事だった。物静かだが、強い意志と愛情を内に秘めた様子を巧みに演じていたと思う。
妻テッサを演じるレイチェル・ワイズも、はまり役だったと思う。美しいが、激しい性格で、正義のためなら、何がなんでも突き進み、歯止めが効かなくなる、活動家の役。しかし、こういう女性は、どうも苦手。夫を愛し、守るために、自分の活動について夫に黙っているとか、はたまた、情報を得るために色仕掛けに出るとか、立派な主義主張を述べている割に、自分の行動の仕方に、思慮が欠けていると感じてしまい、腹立たしく感じた。それだけに、妻を想いながら最期を迎える夫ジャスティンの姿に、胸が痛くなった。
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