ぴのした

殺人の追憶のぴのしたのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
3.8
パラサイトまでにポンジュノ作品全部見る企画。古い映画だけど面白いなー。

デヴィッドフィンチャーみたいなジメジメさなのに、ところどころコミカルなのがポンジュノらしい。死体のカットの後に焼肉のアップとか笑うから笑、オクジャでもあったけど

2人の刑事のキャラも分かりやすく真逆で面白い。

この時期の、暴力で自白を引き出そうとする警察への反感というのは強いものがあったんだろうな。

暴力がなければ、あの顔の焼けた男もすぐに目撃者として話せたはずなのに、あの怪しい優男も「おれは拷問にやられない」と頑なにならなかったかもしれないのに、暴力に頼り切ったせいで、本当に悪い奴は分からずじまい。

容疑者を蹴った男が小さな釘一本に刺されて、彼らを蹴ってきた足を失う、というのが一番の皮肉だよな。小さな釘でも放っておくと重大な結果になってしまう。足をなくしたら蹴ることはもちろん、しっかりと地面に立つことも難しい。この物語を象徴しているようにも思う。

こういう時代や暴力をテーマに描くにあたって、被害者側じゃなく、加害者側の視点から撮るというのは斬新に感じた。面白い。