まーしー

クリムゾン・リバーのまーしーのレビュー・感想・評価

クリムゾン・リバー(2000年製作の映画)
3.5
猟奇殺人事件を追う刑事ニーマンス(ジャン・レノ)。
墓荒らしを追う刑事マックス(ヴァンサン・カッセル)。
二人の刑事が追う事件が交錯していくフランス発ミステリー。

アルプス山脈の麓の村が舞台。
周りは白銀の世界。近くには急峻な山がそびえ立つ。
このような閉鎖的な地域の出来事や風習から、何とも言えない不気味な雰囲気が終始漂っている。

正直言って、ミステリーとしては普通。ニーマンス刑事とマックス刑事のバディ感は良いものの、謎解きに特別な捻りがあるわけではない。
遺体の発見場所から、犯人の想像がつく人もいることだろう。
ただ、前述した雰囲気が本作を駄作にしていない。
近親婚が繰り返される慣例、目の不自由な村人の割合の高さ、どんよりした曇天と白銀の雪景色……こうした雰囲気は、観ている私の背筋をぞくぞくとさせる。

最近では、閉鎖的な村を描いた邦画『ヴィレッジ』が思い浮かぶ。
その作品とは作風や内容を全く異にするが、底流にあるテーマは同じかも知れない。
自分たちを是とする優勢思想、それに従わない者を部外者とみなす同調圧力……。

世間の評価はパッとしないが、個人的には好きな作品。
興味のある方はぜひ。ただし、冒頭から残忍な遺体が映されるので、観る人は要注意。