#1167
1969年 イタリア🇮🇹/ドイツ🇩🇪/スイス🇨🇭映画
監督はヴィスコンティ
ナチスが台頭した1930年代前半のドイツ。鉄鋼一族の凋落をデカダンス調に描く。
骨太のこの作品、非常に面白い。
当時のドイツ社会にどんな風にナチスは台頭してきたのか一側面からだが垣間見れて新鮮だ。
ナチスが政権を掌握した1933年2月のドイツ。プロイセン貴族で製鉄王のエッセンベック男爵家では、当主ヨアヒムの誕生会が行われいた。そこに集うのはエッセンベック家の人々と重役達。
彼らはこの会社を我が物にしようと企む者ばかり。
誕生会の最中、共産党の手によって国会議事堂が炎上しているというニュースが飛び込む。
この事件をきっかけに躍進するナチスと鉄鋼一族の凋落を絡ませながら描かれる。
この映画で描かれるのはヨーロッパ文明の落日である。
「陰謀」「退廃」「愛憎」「倒錯」「近親相姦」「虐殺」こんな言葉が踊っているような映画だ。
冒頭の誕生会で度肝を抜くのが、ヨハヒム直系の孫マルティン(ヘルムート・バーガー)
がデートリッヒそっくりに女装して歌う姿だ。
この男はヨハヒムが亡くなれば、社長にも就任できる男なのだ。
ヨハヒムが眉を顰める姿が映される。そういう立場だとういうことが、このシーンだけでわかる。この男は少女に異常な性欲があり、この描き方もヴィスコンティは上手く、気持ち悪く撮っている。
しかし、この物語はこの男を中心に展開されることになる。
このマルティンを演じるのがヘルムート・バーガー。同性愛者のヴィスコンティがもっとも愛した男らしい。
アラン・ドロンそっくりの色男だが、狂気じみている。
アラン・ドロンと仲違いした後、ヴィスコンティの感心はこの男に移ったのではないかと邪推してしまうほどそっくりだ。
この一族と重役達の立ち位置がわかっていた方がこの映画はわかりやすいだろうと整理して観たので、割とすんなりストーリーが入って来た気がする。
📝キャスト
⚫︎【ヨハヒム・フォン・エッセンベック男
爵】(アルブベヒト・ショーペンハルス)
鉄鋼王。この物語は彼の誕生日から始ま
る。
⚫︎【ヘルベルト・タルマン】(ウンベルト・
オルシーニ)エッセンベック製鉄の重役。
ヒットラーに協調しようとするヨハヒム
に批判的
⚫︎【エリザベート】(シャーロット・ランブ
リング)男爵の姪の彼の妻はヨハヒムは
内心はヒットラーを嫌っているという。
⚫︎【コンスタンチン】(ラインハルト・コン
デホフ)ヨハヒムの甥。誕生会の前に風
呂に入り準備万端。ナチスの党章をつけ
ている。ナチスが組織した愚連隊の幹部
⚫︎【ゾフィー】(イングリッド・チューリ
ン)ヨハヒムの戦死した息子の嫁
⚫︎【フリードリッヒ・ブルックマン】(ダー
ク・ボガード)
ゾフィーの愛人。それを利用してヨハヒ
ム亡き後社長就任。ゾフィーと結婚す
る。
⚫︎ 【ギュンター 】(ルノー・ヴェルレー)
ヘルベルトの子供。後にナチスに洗脳さ
れる。懐かしのルノー・ベルレーを観
た。
2023.05.06視聴202