ずどこんちょ

のだめカンタービレ 最終楽章 後編のずどこんちょのレビュー・感想・評価

3.3
のだめカンタービレ,当時見て人生で2周目。コロナ禍で見始めて、ついに完結を迎えました。

最終章の後編とあって、これまでよりも集中的に二人の関係性にスポットライトが当たっています。今までも近付いて離れてを繰り返してきた二人の距離感ですが、本作でもやはりその繰り返し。
努力に裏打ちされた天才・千秋と天才肌だけど我流ののだめ。恋模様は順調そうなのですが、千秋が先に進んで活躍していく姿にのだめは自信を喪失しがちです。
まぁ、彼女には自信を支える根拠となる実績がまだありませんからね。

そういえば後編では、清良と龍太郎の恋模様もちょっとだけ描かれます。この二人は千秋とのだめと違って清々しいから安定感があります。良いですね。

今回、のだめが一番千秋とやりたかった曲を、孫Ruiに取られてしまいます。正確には彼女がやりたいと声を上げた時には,既に孫Ruiとの共演が決まっていました。
千秋とRuiによる見る者を圧倒させる共演。それはのだめが千秋とやりたかったこと以上の出来栄えでした。共演は共同作業そのもの。
目の前で愛する人が別の女性と素晴らしい作品を作り上げるステージをのだめは目の当たりにするのです。

大切な恋人の公開共同作業ステージ。
失意の底に落ちたのだめは、怒りと自暴自棄になってシュトレーゼマンと結託。結託するシーンの魔法陣は悪魔と手を結んだかのようです。どうやら劇薬に手を染めたな。
デビュー公演が世間の耳目を集めるシュトレーゼマン公演。鮮烈なデビューを飾ったのだめは、一躍時の人となり、そして、すぐに皆の前から姿を消しました……。

考えてみれば運命とは不思議なものです。
のだめは幼稚園の先生になりたかっただけなのに、好きにピアノを弾いてただけなのに、彼女の才能に目をつけた周囲がのだめののびのびした演奏を修正し、伸ばし、目標を与え続けてきました。
彼女にとっては決して楽しいだけの音楽ではなかった。むしろ苦しいことの方が多かった。
では、彼女はやらされていただけなのでしょうか?無理強いだったのでしょうか?それも違います。
それでも、のだめは彼女に期待を寄せてくれる人たちに応えようと全力で練習をしてきたのです。少しでも憧れの人に近づこうと必死で選んできた道なのです。
だからこそ、憧れの人が彼女の先を行ってしまうのがいつも不安で堪りません。

原点回帰の千秋とのだめのピアノコンチェルト。
二人を繋げたきっかけも、二人の間にある絆もこれからもずっとクラシック音楽なのです。