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日本の黒い夏 冤罪のmakoのレビュー・感想・評価

日本の黒い夏 冤罪(2000年製作の映画)
4.0
録画消化。
初鑑賞。
原作は、長野県松本美須々ヶ丘高等学校放送部制作のドキュメンタリービデオ作品『テレビは何を伝えたか』を元にした、平石耕一の戯曲『NEWS NEWS』。1994年6月27日に長野県松本市北深志地区で発生した松本サリン事件の第一通報者である河野義行に対する「長野県警察の強引な任意同行」と「報道機関の誤報による過熱取材」の実態を描いた作品である。(Wikipediaより)


地元の高校の放送部員(遠野凪子)は、事件の冤罪報道を検証するためテレビ局にいくつか取材を申し込むが取材を受けさせてくれたのは、テレビ信濃だけだった。
取材を通して、当時どのような報道をしていたのか、警察はどう発表し、参考人の神部(寺尾聰)の聴取はどのように行われていたのかなどが明らかになっていく。
警察は第一通報者の神部が黒だと決めつけ、神部自身サリンにより体調が悪く診断書で聴取時間は2時間と書いてあるのに7時間事情聴取し、強引に自白強要していたことを知り観ていて怖かった。
マスコミは、警察の発表を鵜呑みにしている所が多く、裏付けなく報道し、いかにも神部が犯人かのような報道をする新聞やテレビに憤りを覚えた。
その中でも発表内容を裏付け取材し真実を報道しようとするテレビ信濃のようなテレビ局もあったけど、サリンのことを取材したときに教授(藤村俊二)が偽の発言をし、それをそのまま放送してしまったこともあり、ダブルチェックしていればこんなミスは起こらなかったんじゃないかと思った。

女子高生の意見は観客側。
テレビ局のコージ(北村有起哉)の発言はマスコミ側。
そう感じました。

印象的だった台詞
弁護士 : 冤罪のイメージを作ったのがマスコミなら、晴らすのはマスコミの責任ではないでしょうか。
女子高生 : 新聞やテレビの報道はもっと真実に迫ったものだと思ってました。

あとコージの台詞で、視聴者の受け取り方にも問題があるというような事を言っててそれも一理あると思ったけど、そもそも決めつけた報道を延々としていれば視聴者はそれを真実かもと思ってしまうのは当然じゃないかと思った。

私もこの事件はリアルタイムで知っていて連日河野さんが犯人のように報じていたから私もそう思ってしまった。
この冤罪は警察、マスコミ、市民が作り上げたものと女子高生が言いますが私もそうだと思いました。

今年観た『リチャード・ジュエル』とやっぱり似てるなと思いました。
決めつけた捜査、過熱報道、市民の思い込み。あと、第一通報者。

これを通してマスコミは報道に対し反省し改善できているのだろうか。

私は今日(こんにち)のテレビは現政権寄りの放送になっていると感じています。テレビの情報を鵜呑みにせず、他の情報も取り入れ、知り、考えないといけないと思っています。

終盤、サリンを撒くシーンがありそれを観ていて恐怖を感じました。オウム真理教は改て狂ったカルト集団だったと思いました。背筋が寒く気分が悪くなりました。
当時の映像や事件のあった河野さんの庭をお借りしての撮影、映像もありドキュメンタリーを観ているかのような感じがありました。制作協力に河野さんの名前もクレジットされていました。

考えさせられる内容で観てよかったです。


本作で北村和夫さん、有起哉さんが親子共演してました。
女子高生役の遠野凪子さんにはびっくり!この頃は可愛かったのね😅


2020#93
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